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「このはな綺譚」各話ストーリー紹介&感想:心温まる日常ファンタジーアニメ

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

「このはな綺譚」は2017年10~12月放送の漫画原作作品、全12話。

 

この世とあの世の間にある温泉宿「此花亭」を舞台とした日常ファンタジー。

奉公に来た新人仲居の柚を中心に、仲間との絆や此花亭を訪れる様々なお客との触れ合いを描く。

 

 

◆ジャンル&キーワード

日常、ほのぼの、ファンタジー、狐娘、和、神、百合、温泉宿

 

◆お勧め度

★★★★☆(星4)

 

◆こんな人にお勧め

  • 心温まりたい人
  • 和のテイストを味わいたい人
  • 神社の雰囲気が好きな人

   

konohanatei.jp

 

目次 

 

 

 

総評

この世とあの世の間にある此花亭を舞台に、仲間との絆や訪れる様々なお客との触れ合いを描き、ゆったりと流れる時間や四季折々の風景を楽しめる。

よくある美少女動物園の日常系かと思ったら大間違いで、主軸にあるのは心温まるストーリー。

感動して泣けるっ!って感じではなく、心の奥がジワーっと温かくなる感覚が心地良い作品

そして話しの最後に実は・・・とネタ晴らしを持ってくる話が多く、話しの組み立て方が上手い。

 

主人公の柚は、少しドジではあるけれども優しく素直で正直者、人を疑うことを知らない、何事にも前向きで一生懸命、目を丸くして口を菱形にする表現が可愛く、見ていると心が洗われるような気持になるキャラ。

そして、柚の言葉一つ一つが日常で忘れていた感謝の気持ちを思い出させてくれる

 

時折入る、キャラの表情をゆるく描いたり、全身デフォルメキャラになったりと崩した作画がキャラの可愛さを引き立て、テンポとギャグを生んで作品の良いアクセントになっている。

 

全12話の中で作品全体の和風テイストに合った四季折々の色彩が楽しめる。

色の使い方が非常に巧みで美しい

春には綺麗な桜の花びらが舞い、梅雨には紫陽花の美しさを強調した演出がされ、秋の紅葉やお月様とススキを美しく描く。

 

  

注意:ここからは、ネタバレありです。 

 

 

 

各話ストーリー紹介&感想(ネタバレあり)

1話:さくやこのはな

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

比丘尼(びくに)とずっと二人暮らしだった狐娘の柚(ゆず)は、あの世とこの世の間にある宿場町に建つ「此花亭」へ奉公にやってきた。 

風呂場へ通じる廊下を磨く柚は、磨きすぎたせいでお客である薬屋を転ばせてしまい、教育係の皐(さつき)と共に謝罪に行く。

 

自分の面目のため皐は病人もいないのに薬を一揃え買って詫びると言ってしまう。

困惑した薬屋は金平糖の材料が足りないので星を落として欲しいと頼み、柚はとんちを利かせ夜空に向かい石を投げ流れ星を星だと言い、山向こうに落ちたので拾って下さいと返す。

 

金平糖を心のほぐれるお薬だと言い皐に渡す薬屋。

翌日、薬屋は星を拾いに山向こうに行くと言い笑顔で宿を後にする。

 

ある日、皐に怒られながらも頑張る柚を見た仲居頭の桐(きり)は、柚に櫻(さくら)と組むように言う。

働く気配がなく自由奔放に遊びまわる櫻に付いていく柚。

桜が咲き乱れる広場でのんびりとした時間を過ごした柚は、今まで自分の周りしか見えていなかったと感じる。

その夜皐と同じ部屋で寝ることになった柚は「おやすみなさいと言って眠れるのはなんだか嬉しい」と眠りにつく。

 

  

感想:

素直で正直者な柚と、責任感が強く真面目でキツイ皐が、粋な薬屋さんと出会ったり、同じ部屋で寝ることになったりしながら親睦を深めていく第1話。

 

柚の素直で正直者な所や人に気が使える所など、もの凄く好感が持てる。

そして目を丸くして口を菱形にする表現がかわいい。

紹介されたのに冷たくその場を離れる皐を見て「綺麗な人」とか、蓮を見て「可愛い人だぁ」とか、全く人を疑わずに擦れた所がない。

皐に怒られても「皐ちゃんは私の面倒を見るだけでも大変なのに、自分の仕事も完璧にこなしています。だから私も足手まといにならないよう頑張らないと」と言う。

ええ子や。

泣けてくるほどええ子や。

 

柚は皐が薬屋さんの薬をお詫びに一揃い買うと言った時も「いけません。お薬は体を壊した方の為の物でただお詫びで買えばいいと言うものでは・・・」と考えてるし、その後も機転を利かせとんちで対応してみたりと本当に良くできた子だ。

「おやすみなさいと言って眠れるのはなんだか嬉しい」という言葉もなんだか深くいい言葉だ。

 

山向こうに星を拾いに行くと言った薬屋さんに「あー!違うんですあれはとんちでして、私が落とした訳では。だから山向こうには落ちてないんです」って必死に薬屋さんに話す柚。

ほんと擦れてないよな。

薬屋さんの「そんなの分かりませんよ。そこに星が落ちてるかどうかなんて行ってみなけりゃ分かりません」という返しも粋だ。

薬屋さんが柚のとんちを屁理屈だと言う皐に「屁理屈ではありませんよ。それは遊び心と言うんです」と言い「心のほぐれるお薬ですよ」と皐の心の余裕の無さに気付き金平糖を渡した時もかっこよかった。

 

 

 

2話:春の旅路

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

桐に休みを言い渡された皐は、柚からお花見風呂をプレゼントされ、そのお礼として柚を町に誘う。

出かける準備を手伝ってくれた蓮(れん)から、皐は此花亭を出て巫女になる話しを聞いた柚は、初めての町に興奮する。

 

皐がお勤めする場所を見てみたい柚は神社に行きたいと言う。

皐は連が余計な事を言ったと怒り、柚に待つように伝えトイレに行く。

待っていた柚は南から北へ旅をして5日間逸れた妹を探している女性と遭遇し、一緒に妹を探してあげる事に。

 

一方、皐は姉を探している迷子を見つけお互いの姉の事を話しながら歩く。

迷子は高天原に住まう神の使いであり、大役を果たせばお主の姉も見返せると言う。

なりたかった巫女に姉がなり、自分は此花亭に奉公に出された皐は心の隙をつかれ、大桜を咲かせて姉を見返したい花蒔の妹に大桜の栄養分にされそうになる。

 

妹の行動を察知した花蒔の姉は大桜に駆け付け桜の花を咲かせ皐は助かる。

花を咲かせた大桜の元に巫女が現れ宴が始まる。

姉の舞を見る皐は巫女になるのは諦めないと心の内を柚に打ち明け、柚は人の心に触れる幸せをかみしめる。

 

  

感想:

迷子の子供と妹を探す姉が花蒔の姉妹だった第2話。

姉への劣等感を持ちながらも巫女になるのは諦めないと内心を柚に語る皐と、皐の心に触れ幸せをかみしめる柚。

二人の距離が更に近づくお話し。

 

皐にお花見風呂をプレゼントし、「世の中の物はこうやって私達に関係なく過ぎていくんですね。瞬きしたりうつむいてたら景色なんてすぐ変わっちゃいます。それに気付けないのはとてももったいない事ですね」と皐に語る柚。

姉に追いつく為がむしゃらに頑張り、追いつけずに俯いていた皐の心に柚の言葉が響く。

とても美しくゆったりとした印象的なシーンで、柚の言葉が深い。

 

無頓着な恰好で町に行こうとする皐と柚。

二人を見た蓮が怒り身だしなみを整える。

「女の子たるもの、たとえ家が焼けても優雅でいなくちゃ」蓮の女子力が高すぎる。

どっかの貴族がいいそうなセリフだ。

 

妹を探す花蒔の姉「少しばかり急いたところで時の流れは追い越せまい」

悠久の時を旅している花蒔の良い言葉だ。

この作品に流れている心のゆとりみたいなものを良く表してる言葉だと思う。

 

皐にその場で待ってろと言われた柚は花蒔の姉を助けるために動き、皐は嫌々ながら結局花蒔の妹の面倒を見る。

なんだかんだ二人とも人が良い。

 

 

 

3話:恋待ち焦がれ

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

仲は良いが喧嘩が絶えない棗(なつめ)と蓮 。

ある日の宴会場、酔った客にお尻を触られ男が苦手な蓮は思わず相手をぶってしまう。

怒る客だったが棗が助けに入り、女将の椿が客を追い出す。

 

盛り下がった場を柚と棗が踊りで盛り上げ、それを見ている蓮に桐は「蓮にできることをやればいい、皆が助けてくれるのは普段蓮が頑張っているからだ」と声をかける。

泣いている蓮を抱きしめて勇気付ける棗。

蓮は初めて棗に出会った日に「こんな綺麗な子見た事ない」と言われた事を思い出し、明日ももっと綺麗でいたいと願う。

 

ある日、老夫婦と可愛い孫の葵がお客さんとしてやってくる。

相撲を取る棗を見た葵は、棗に担当をお願いする。

仲良くする葵と棗は町に出かける。

嫉妬する蓮は柚に友達の話として相談し、柚から「そのお友達は寂しいのでは?」と本心をつかれる。

 

町から帰ってきた葵と棗。葵は男の子で力士になるのが夢、町に行ったのは本物の力士に話を聞く為だったと分かり安堵する蓮は、寂しかった事を棗に伝え仲直りする。

そして、蓮に恋心を抱いた葵は棗から「蓮はダメだよ」と釘を刺される。

 

 

感想:

仲は良いが喧嘩が絶えない棗と蓮のお互いを想う恋心を描いた百合全開な第3話。

 

相方を皐と代えて欲しいと桐に言う蓮。

「有能な者同士が組んだら不公平になるでしょ」と言う桐に、有能と言われ気を良くする蓮。

チョロイ。

見事なまでにチョロイ。

 

柚の着物が崩れているのを直す蓮。

「蓮ちゃんは優しくて素敵な女の子ですね」と素直に褒める柚。

蓮はその場を逃げるように去り井戸に向かって「あのキラキラした目が苦手なのよ!さっぱり言葉が通じてないじゃない。あんたの目には世の中どれだけ綺麗に映ってんのよ。少しは人を疑え!いつか騙されて痛い目見るんだからぁ」と叫ぶ。

柚の人を疑わない素直さに心やられるのは分かるけど、蓮は裏表ありすぎるだろ。

そしてそれを聞いていた櫻。

かくれんぼに一生懸命で話は聞いていないようだ(笑)。

 

柚に友達の話として自分の事を相談する蓮。

相手の女の子を憎んじゃ駄目と言ってやったという蓮に「そのお友達は憎いのではなく寂しいのではないでしょうか?そのお友達に人を憎んではいけないと叱るよりも、とても寂しかったんですねと、まずいたわってあげた方が・・・」と言う柚。

柚は本当に良い事言う子だ。

寂しいと言われた方が迷惑じゃないかと言う蓮に「なっちゃんが迷惑だなんて思う訳、あっ」っと友達の話ではない事がバレバレな柚。

そこは上手くやろうよ、ボコられてるし。

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

蓮にボコられる柚

 

 

 

4話:夢の浮き橋

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

朝起きると大きな卵がお腹にくっついている蓮。

仕事を休んで寝ていると棗がいなくなる悪夢を見て棗に起こされる。

卵は蓮から取れ見舞いに来た皐にくっつく。

仕事を休んで寝る皐は、巫女になるのが姉妹のどちらでも良かったなら私でもよかったのにと泣き叫ぶ悪夢を見て柚に起こされる。

 

そして卵からイノシシの子供のような生き物が生まれ、瓜乃介(うりのすけ)と名付けられる。

悪夢の消えた皐は姉からの手紙を思い出し微笑む。

蓮も皐も悪夢が消えた話をし、柚は悪夢を食べてくれる珍獣の名前を思い出そうとするが思い出せなかった。

 

ある日、赤子を見つけてあやす柚たち。

柚は「志乃」のために着物を仕立ている霞の間の老婆の元へ糸と反物を持って行く。

皐と柚は先ほどの老婆が仕立てた着物を着ている3歳児を発見、一緒にお風呂に入る。

手鞠が木に引っ掛かっている5歳児を助ける棗。

泣いている7歳児を綺麗に着飾る蓮。

 

老婆が人形を抱えているのを見た柚は、若くして亡くなった娘の代わりに人形に花嫁衣装を着せる人間の風習について桐から聞く。

花嫁衣装を仕立て終わった老婆は、花嫁衣裳を着て母に礼を言う志乃と共にあの世へ旅立っていく。

 

 

感想:

悪夢を食べる獏により悪夢が消え姉への気持ちの整理がつく皐のお話しと、若くして娘を失った老婆が此花亭で娘との幸せな一時を過ごし旅立っていく感動話の第4話。

後半の話は途中ホラーっぽく見えなくもないが、この世とあの世の間にある此花亭ならではの心温まるお話し。

 

「いつまであの人をこんな所に閉じ込めておく気」という大人になった志乃。

「お客様は自ら望んで此花亭ののれんをくぐって来られました。追い返す事は出来ません」という桐。

夢が覚めたら悲しむだけだと言う志乃に「あんた方人間様の一生も、此花亭で見るつかの間の夢も、あたしら狐にゃ大して変わりませんよ。あーいい夢だった。それじゃいけませんか?少なくともあのお方は夢でも構わないんですよ」となだめる桐。

なんか良い言葉だなぁ。

狐にとってはそんなもんなんだろう。

あーいい夢だった、それでいい。

それでいいんだよなぁ。

 

老婆が旅立った後「お客様ご昼食をお持ち致しました」と霞の間に入ってくる柚。

なんだろう、BGMも相まってすごくいいシーンだ。

少し物悲しく、でも心が温まるそんな感じ。

 

 

 

5話:梅雨(ばいう)送りし

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

供養を頼まれた呪いの日本人形を持ってくる和尚。

面白がって遊ぶ仲居達は人形の髪を整え服を作ってあげる。

寝てしまった人形は、恐がられ遊ばれなかった過去を夢に見るが瓜乃介に悪夢を食べられる。

そして和尚はもう十分に供養になったといい帰っていく。

 

此花亭で働くことになりお菊という名前になった人形。

柚が仕事を教えることになり、機織り小屋になっている庵に食事を届ける柚とお菊。

庵の客は食事もとらず一心不乱に反物を織っていた。

 

桐の案で食べやすいおむすびを持って行く柚は、雨を糸とし織っていくその手捌きに見蕩れ、機織りの音が御囃子のようで思わず鼻歌を歌ってしまう。

雨音ばかりで飽きていたという客は鼻歌を続けさせ機織りをする。

 

柚はみるみる雨糸が織りあがるのは見ていてワクワクすると言い、天の神様への贈り物なら早くお見せして喜んで頂きたいものですと目を輝かせる。

そんな柚を見た客は初心を思い出し完成したら一番に見せてあげると柚に約束し、食事と休憩をしてまた糸を編む。

 

反物が完成し柚と二人で空に広げると、虹となり梅雨が明ける。

 

 

感想:

呪いの日本人形が何故か西洋風の髪型と給仕服になり瓜乃介に悪夢も食われ供養が必要なくなるAパート、雨を糸とし反物を編み梅雨を終わらせ虹をかけるBパートの第5話。

後半の雨が降り全体的にグレーな世界は紫陽花の色と傘の赤が華やかでとても美しく印象的。

そして虹がかかり色鮮やかな世界が戻ってくる演出が素晴らしい。

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

紫陽花と傘の赤が美しいBパート

 

品のない怪現象は南蛮人形にしかできないというお菊

「怪現象が起こせなくてもあなたにはあなたの良さがありますから」と柚。

お菊「あれ?なんか私慰められてる?」

「お前の気遣いはたまに残酷だ」

うん、柚は良い子なんだよ。

その純粋さがきつい時もある。

 

人形の髪を切る櫻。

「櫻ちゃんの笑顔初めて見ました」と柚。

櫻ちゃん笑顔が恐いです。

呪いの人形も逃げたくなります。

その後もお菊のこと追い掛け回してるし、櫻はそうとう気に入ったんだろうな。

 

「あまり根を詰めないでくださいね。お腹がすいたらお食事とって、疲れたら休んで」

柚の言葉は当たり前のことを言ってるんだけど、なんか胸にしみる。

 

 

 

6話:此花亭怪談

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

比丘尼は雪の中に埋もれる狐を発見、自分の元に連れて帰り一緒に暮し柚と名付ける。

 

夜、皆で集まって怪談話をする柚たち。

人数が一人多い事に気付くと此花亭の灯が全て消えてしまう事態が発生。

皆で灯を付け直しに行くが仲居達に化けたオバケが出て騒ぎとなる。

オバケが逃げて行った後、皆は柚が居ない事に気付く。

 

皐に化けたオバケに手を引かれる柚は「ところであなたは誰ですか?」とオバケに問いかける。

誰になれば私を好きになってくる?何を変えれば好きになってくれる?と柚に問うオバケ。

 

柚は昔の夢を見る。

比丘尼の元で働く柚。

自分を神社の奉公に出す話を立ち聞きしてしまった柚は、比丘尼の傍に居たい一心で今まで以上に一生懸命働き阿弥陀様を倒してしまう。

傍に居たいと泣く柚を抱きしめる比丘尼。

時が経ち、此花亭の話を聞く柚。

その話に心惹かれる柚を見た比丘尼は、柚がより咲き誇れるようにと此花亭へ奉公に出す。

 

オバケに今まで出会った皆が好きと答える柚。

柚の心を覗いたオバケは舟に乗りまた逢おうねと明るい笑顔で消えて行った。

此花亭に戻った柚は、柚が会っていたのがオバケで船は三途の川を渡る物だと教えてもらい驚く。

 

 

感想:

怪談話が本物になり、オバケに気付いていない柚がオバケと過ごし、柚の過去を見てオバケが成仏していく第6話。

回想の中の柚がとても可愛く健気で一生懸命。

見てるだけで心が洗われていく。

回想シーンは年が経つ毎に古いフィルムから色褪せたカラーになっていくという凝り方。

うまい見せ方だなと思う。

前回の梅雨の見せ方同様、色の使い方が凝ってて巧い作品だと思う。

 

暗いのが怖い皐が中々のポンコツ具合を発揮していてかわいかった。

 

「もう、ほっておきなさいよオバケの一匹や二匹。湧く季節なんだからしょうがないでしょ」という桐。

まあ、確かにこの世とあの世の間にあるんだから、ここではオバケは珍しくないよね。

 

皐に化けたオバケに手を引かれる柚は「ところであなたは誰ですか?」と問いかける。

皐だと思って付いて行ってるんじゃないのか!

皐じゃないと知ってて着いてきた理由が「あんな表情で伸ばされた手は振り解けません」と。

柚はなんて良い子なんだ。

 

奉公に出されると思い頑張りすぎて阿弥陀様を倒してしまう柚。

健気すぎて泣ける。

桜の花を見て「誰かの心を慰め励ました事を花自身は知らないのでしょうね」と言う比丘尼。

柚は「難しくてよく分かりません」と言うが、時が経ち此花亭に柚を送り出すときに、柚が自分にとっての花だと言う。

柚はいい人に拾われたよなぁ。

 

オバケに誰が好きか聞かれる柚

「沢山です。比丘尼様や寺にいらっしゃるお客人も此花亭の皆さんもそのお客様も。少しの偶然で一生出会えなかったかもしれない人達です。その奇跡を、その人が居てくれるだけで感謝で一杯になります」

良い言葉だなぁ。

出会いを奇跡と言い感謝する。

柚の言葉一つ一つが日常で忘れていた感謝を思い出させてくれる。

 

会っていたのがオバケだと認識していなかった柚。

「そういえば化けるのが上手い人でした」

いやいやそうじゃない、オバケだ。

 

 

 

 

7話:夏祭りの夜

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

交代で祭りに行く事になった仲居達。

柚、皐、櫻で祭りに行く。祭りを堪能する3人は、お土産を買い盆踊り会場へ行く。

精霊を迎え慰める踊りであり、霊たちは足の速い馬で来て帰りは牛に乗ってゆっくり帰ると言う皐。

此花亭で働くお菊は自分だけ祭りに行けない不満を桐にぶつけるが、まだあの世に引っ張られやすいからと理由を聞いて怒るのをやめる。

 

柚と櫻が盆踊りを踊っていると、柚は櫓が遠くに見えるあの世への帰り道に迷い込んでしまう。

すると舟に乗り消えて行ったオバケが柚をつかみ、柚に帰る方向を教えて消えていく。

皐の元に戻った柚は、そのオバケとまた来年も会えるだろうかと微笑む。

 

祭りに行く棗と蓮。

また今年も棗にお洒落が気付かれない蓮は半ばあきらめながら祭りを見る。

祭りを楽しむ棗だが、新しい下駄で足が擦れてる蓮を去年も擦れていたと言いおんぶする。

棗がしっかりと自分を見ていてくれたことに喜ぶ蓮。

花火を見た後二人は昔のように裸足になり、仲良く此花亭へ帰る。

 

 

感想:

柚たちがお祭りに行く第7話。

前半は柚たちのお祭り、後半は蓮たちのお祭り風景が楽しめる。 

 

興味がないから祭りには行かないと言う皐だったが、桐の柚と櫻の二人だけで行く事になるという脅迫に屈する。

この二人を放置したら祭りでどうなるか、というか祭り会場に辿り着けないかもしれない。完全に皐は保護者ポジション。

 

祭り会場でフラフラする櫻。

迷子になるからと追い駆けるも一人になってしまう柚

「私のせいでお二人が迷子になっちゃいました」

いや迷子はお前だ。

 

女将と桐へのお土産は何が良いかと考える柚に酒を指さす皐。

「たぶんすごく喜ばれるでしょうが、もっとこう情緒のあるものが良いかと」と柚。

でも、あの二人には皐の言う通り酒が正解なんだよなぁ。

 

盆踊りを踊っているとあの世に帰る道に迷い込んでしまう柚。

まさか前回のオバケが再び出てきて助けてくれるとは。

一回こっきりの出演じゃないのね、あのオバケ。

 

編み込んだ髪を気にしたり、新しい下駄で擦れたり、恋する乙女の蓮は色々大変だな。

今年は仲良く一緒に帰れたようでよかったよかった。

 

 

 

8話:かりそめの訪客

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

浜辺に打ち上げられている女性を発見する柚。

女性は遭難してきたとか人魚で仲間を探しているとか柚に嘘を吐く。

柚の尻尾を見て不思議がる女性は、自分は嘘つきで家族と不仲で友達も居ないと言い、子供の頃絵本が好きで絵を描くのが好きだった柚に話す。

 

柚は遭難話や人魚話は楽しかったのでもっと沢山の人に楽しい話を聞かせて下さいと言い、女性は消えていく。

「松本さん大丈夫?」と浜辺でクラスメイトに助けられる海に飛び込み自殺を図った女性は、今見た夢の話をクラスメイトにする。

 

現世の人がこっちに紛れ込んでくる事があると言う皐。

紛れ込んできたカイトと言う名の男の子は、将来人の役に立つ立派な仕事をするという。

現世に戻ったカイトは本当の両親ではなかった親と別れ施設で暮らすことになり、再び此花亭に紛れ込む。

 

事故に遭った後此花亭にいる男性に宿泊期限が過ぎているので帰れと言う蓮と桐。

同様に帰りたくないカイトも話しに加わる。

奥さんの連れ子で娘が一人いると言う男性は、事故後の体では妻に迷惑がかかるので帰れないと言うが、桐に説得され現世に帰る。

 

大人になったカイトが新しい家族ができたと此花亭へ報告に来る。

カイトは事故で目が不自由になった男性の盲導犬であり、男性の家には娘が描いた絵本が飾られていた。

 

 

感想:

現世から紛れ込んできた女性、男の子、男性が、最後に事故で目が不自由になった男性と盲導犬、その娘だったとわかる第8話。

人間の男の子と思わせてた盲導犬のミスリードが非常に上手かった。

だから育ての親と、その後の施設、そして人の役に立つ仕事なのか。

なるほど。

松本さんの絵本もあり、AパートとBパートは別の話と思わせておいてからの最後に全部の話が繋がっていたとわかる構成も上手い。

此花亭の時の流れは現世のソレとは違うんだな。

 

遭難してきたと嘘を吐く女性におまんじゅうあげたり、嘘だと分かって「安心しました」と言ったり、人魚の話を聞き一緒に探したりと、騙してごめんねと言う女性に「騙されてなどおりませんよ。だってお姉さんはおまんじゅうを返してくれました。騙すと言うのはそれで何かを取ったり、人を傷つけたりする事です。お姉さんの作るお話は楽しいです」と言う柚。

今回も柚は真っ直ぐ素直で人を疑わない、涙が出るほど良い子だった。

 

櫻の仕事をバカにするカイトに対し「将来ご立派になられる方が他人のお仕事をそんな仕事呼ばわりされるのは寂しい事だと思いませんか?」と言う柚。

人を見下して自身のアイデンティティーを保とうとする人いるよなー。

柚の中では全てフラットで平等なのだろう。

しかし、これ怒ってるのか・・・分かりにくい。

皐はそれがわかるくらいに柚を理解してるって事だな。

 

 

 

9話:泡沫(うたかた)の…

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

浜辺で虐められていた亀を助け此花亭に連れてくる柚と櫻。

お礼に海神の宮殿につれていくという亀は二人を背に乗せ池に入っていくが二人は溺れてしまう。

そもそも池からは海神の宮殿に行けないと分かった面々は呆れて解散。

亀は宮殿に行けば働かなくていいと言うが、柚は毎日何をしていいか分からなくなると答え、亀は帰っていく。

 

此花亭に予約なしでこの国を生んだ神の孫、水の神様沫那美様がやってくる。

手が離せない桐は蓮に沫那美様のお世話を頼む。

夢であった上級神のお世話ができると張り切る蓮だったが、沫那美様の背中を流すうちに沫那美様が小さな泡に分裂し飛んで行ってしまう。

 

分裂して飛んでいく沫那美様を追い駆け捕まえる柚、蓮、棗。泡に飲み込まれ幻覚を見る柚は様子を見に来た桐と皐に助けられる。

分裂した沫那美様を回収、櫻が匿っていた最後の沫那美様を桐が「沫那美様は生まれ直しの時期であり、その子は沫那美様の魂であり子供であり記憶。

大切なものだから返してあげましょうね」と説得。

 

無事分裂から元に戻る沫那美様。

柚は自分が見た幻覚が沫那美様の魂に刻まれたこの国が生まれた記憶であると察し、自分たちの生きてる時間などそれこそ泡沫の夢のようなものだと思う。

 

 

感想:

亀を助け海神の宮殿に行かない話と、沫那美様が此花亭に訪れ分裂する中で、柚が日本創生の記憶を見る第9話。

亀の話はこの作品にしてはちょっと珍しくかなりギャグに振ったお話し。

 

イジメっ子を鐘で撃退する櫻。

つえぇな、そして力持ちだ。

櫻の潜在能力が未知数すぎてわからん子だ。

 

竜宮城に行きたいと言う蓮に権利を譲る柚。

「いや~申し上げにくいのですが私の体力的に柚さんより重い人はちょっと・・・」と亀。

激怒する蓮。

レディーに最も言ってはいけない言葉だ。

「大丈夫だよ!ぽっちゃりしてるくらいの方が女の子は可愛い」とフォローする棗だが、「ぽっちゃりは否定しろ!」と蓮にぶん殴られる。

世の男性の多くは棗と同意見なのだろうが、乙女にはわからんだろうなぁ。

女子の体重関係って男にモテたいを通り越して、女同士の戦いみたいになってる所があるからな。

 

亀の背中に乗り溺れる柚と櫻がかわいい。

「浦島さんも山幸彦さんも素潜りでいけたんですが」

いやいやどんな超人だよ。

そして、そもそも此花亭の池からは海神の宮殿に行けないとか・・・、なんなんだよ!亀。

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

亀の背中に乗り溺れる柚と櫻

 

「宮殿に行けば働く必要なんかありませんよ」と言う亀。

それを聞いた柚は「それは、毎日何をしていいか分からなくなってしまいますね。此花亭には毎日新しいお客様がいらっしゃいます。そのお一人お一人からいつも大切な事を教えて頂いて、私はまだ十分なおもてなしもできていません。ですから、申し訳ありませんが私は此花亭を離れる訳には参りません」

柚ちゃん、ごめんなさい。

働きたくないと日々思っていて本当にすみません。

現世で柚のようにピュアで居続けるのは無理です。

 

亀を客人として迎え入れ、いい話やな~っと思ったら食べる気だったのかよ!

珍しくギャグエンドだった。

 

分裂する沫那美様。

思いっきり柚が泡を潰してたけど、沫那美様の魂だか記憶だかが消えたって事よね?

大丈夫なのかしら?

 

日本創生の幻影を見た柚。

「私たちの生きてる時間などそれこそ泡沫の夢のようなものだと思いまして」と、また一つ柚が聖人に近づいてしまった。

 

 

 

10話:姉上襲来

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

仲居部屋で休憩する皐は茶菓子と間違えて小さくなる薬を食べてしまう。

小さくなった皐は柚の肩に乗り指示を出す。

此花亭を訪れた客人の姿を見て、山道を歩いてきたと察した柚は綺麗な庭が見れる場所に足湯を用意し客をもてなす。

その姿を見た皐はもう指示することはないといい、柚の仲居としての成長を認める。

 

皐が寝ている間に元に戻す薬を飲ませる桐。

翌朝、柚の隣で目覚め元に戻った皐に桐は「お姫様の接吻で戻った」と嘘をつく。

 

皐の姉柊(ひいらぎ)と同僚の菖(あやめ)が此花亭にやってきた。

桐は皐を担当にする。

露天風呂に皐と共に飛び込んだり、屋根から降りられなくなった客人の姫を助け遊んだりと自由奔放で人を引き付ける柊。

帰る前に御神楽を見たいと泣き叫ぶ姫。

踊るのを嫌がった皐だが柚にお客様の要望にお応えするのが仕事と言われ柊と一緒に踊り、姫を喜ばせる。

 

踊り終わった皐は天才的な柊の凄さに勝てないと涙し、お客様が喜んだのならそれでいいと言う。

柚は常に隣で天才と比べられた皐の胸の内を思い涙する。

此花亭を後にする柊は、頭が良くて問題も起さない皐を母が此花亭に勧めた事への不満を菖に漏らし、友達も居ないようなら神社に呼んでやろうと思ったのにとふてくされる。

 

  

感想:

柚の仲居としての成長を感じた皐が、姉と共に踊り姉への劣等感を暴露するも、実は姉も妹への劣等感を持っており、皐が此花亭に奉公に出された真実が語られる第10話。

柊は天才肌だが未だに九九もできないのはどうかと思うぞ。

歌と踊りしかできないから巫女になるしか道が無かったって事だよね。

結局、お互いがお互いを羨ましいと思ってるのが姉妹あるあるな感じ。

姉より優れた妹などいないのだー!

ってどっかの北斗神拳伝承者みたいな事じゃなかった。

 

此花亭の秋の景色や、夜の月やススキの風景が素晴らしく綺麗。

相変わらず色の使い方が非常に上手い作品だ。

 

小さくなって柚の肩に乗ってる皐がかわいい。

もうこのままで良いんじゃないだろうか。

体が小さくなり声も小さくなってるので柚が皐の言ったことを伝える。

「どうせまた皐が細かい事言ってんだろー」と言う棗に「なんだとこらぁ!」と返す皐。

「なんでしょうか?こらー」と翻訳する柚がかわいい。

柚の育ちが良すぎる。

 

「そういえばこんな話があるわね~。西洋では異形に変えられた魔法を解くには愛する人の接吻が効くって。寝てる間にどこかの御姫様が救ってくれたのかもね~。な~んて」と小人から戻った皐を煽る桐。

完全に楽しんでるな。

ふふって笑ってる顔がクレヨンしんちゃんだ。

 

柊がきてワクワクする蓮。

「なんかこう、姉妹の間で確執とかあるんじゃないかしら」って、完全にゴシップ好き。

昼ドラとかドロドロ系がお好みかな?

そして、姉妹の間の確執とか当たってるのが恐い。

 

柚の事を見て「此花亭の仲居といったら花形だぞ。お前みたいな地味なのに務まるのか?」と言う柊に、すかさず柚へのフォローを入れる皐。

流石だ。

良い先輩じゃないかと思った矢先に、「これでお前がヘマしたら私の面目丸潰れだからな!肝に銘じろよ」と、柚にこれ以上ないプレッシャーをかける。

良い先輩なんて居なかった。

 

 

 

11話:神様の休日

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

櫻の得意様がやってくる。

お客様は木の実でやじろべえやコマを作り櫻と一時を過ごす。

次にオカマで芸能の神様である蓮のお得意様がやってくる。

神様は最近初詣以外誰も来ず祭りも減ったと嘆く。

柚は櫻のお得意様が戦の神で最近は戦がないから暇みたいだと棗から聞く。

 

自分の刀を使い竹を割る戦の神。

柚は刃が零れてしまうので道具を持ってくると言うが「使わないものは飾っていても錆びるだけです」と戦の神は柚の申し出を断る。

夜に大宴会をする芸能の神。

次の日、神様のお連れだと思っていた女性が化粧した女将だと知り仲居達は驚く。

 

年末年始前で神様の客が多く忙しい此花亭。

お菊はする事が無く町に行き、ボロボロになって捨てられている人形を拾う。

ボロボロの体や服などを直してもらおうと蓮や棗に声をかけるが忙しくて相手にされないお菊。

 

人間が憎いと言うお菊に人形は「あなた遊んでもらった事がないのね」と言い、傷だらけの体は子供に遊んでもらった想い出であり、捨てられたのは私達の寿命だと語り消えていく。

夜、お菊は蓮が秘かに作っていた正月用の振袖をもらい涙する。

 

現世、母が勝手に捨てた人形をゴミ捨て場で探す女性は、人形を発見し大事そうに持って帰る。

 

 

感想:

様々な神様が此花亭に訪れる話と、お菊が此花亭の皆から大事にされているのを再認識する第11話。

お菊の話がトイストーリーみたいで泣ける。

最後持ち主の女性が見つけだし持って帰るのがハッピーエンドで素晴らしかった。

そして、正月用の振袖を作ってもらったお菊の涙。

良い涙だ。

現世では報われなかったお菊だけど、これからも此花亭では優しさに触れて楽しく暮らして欲しい。

 

櫻と遊ぶ戦の神がなんだかとっても渋い雰囲気でかっこいい。

「使わないものは飾っていても錆びるだけです」と言い、竹とんぼを作り空に放ち、櫻が無邪気に追いかけるシーンは物悲しくもあるが胸の奥が少し暖かくなる。

 

化粧をした女将・・・化粧ではなく特殊メイクの類だな。

白粉をはたいただけで顔の形まで変形するのか。

どんなイリュージョンなんだ。

フォトショ使ってもここまで変わるのは難しいぞ。

 

人形を此花亭に連れてきたお菊。

「此花亭の狐達は修理が得意なのや、裁縫が得意なのや、何でも言うこと聞く奴まで皆あたしの下僕みたいなもんだから」

柚の扱いが酷い。

 

櫻から逃げるお菊。

「遊びたかっただけじゃないの?」と言う人形に「甘いわ!あいつのは遊びじゃなくて凌辱よ!」と返すお菊。

確かに櫻のは遊びの域を超えていると思うが、凌辱ではないだろう。

 

お菊に「あなた遊んでもらった事がないのね。だからそんなに綺麗なのね。子供に使われてないから」と言う人形。

体の傷が子供との想い出だという。

確かにね、子供は荒いからね。

傷がない=遊んでもらってないって事か。

人形としての幸せは傷がついても遊んでもらう事なんだなぁ。

そして捨てられたことを「寿命」といい、「女の子達は皆おままごとより楽しい事を知って、人形より好きな人ができて大人になっていくの。女の子の友達として生まれた私達の、それが寿命」

あぁ、なんかちょっと切ないけどいい話だなぁ。

 

 

 

12話:大晦日の奇跡

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©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会

女将の部屋の大掃除を手伝う柚は何百年も使っていないという眷族の巻物を発見する。

2年参りに行く柚たち。

柚は落とした巻物を追いかけるうちに神の道に迷い込んでしまい、柚を同業者と勘違いした椿という巫女にとある神社へ連れて行かれる。

そこは柚の持っている巻物と同じ物が沢山あり、人の願いを叶える仕事をしている巫女が忙しなく働いていた。

 

事情を説明する柚に椿は「この世界に此花亭は無い」と告げる。

書記係として手伝いをする柚。

仕事が終わり神の道を時間移動できる何百年も生きてる高い霊力を持った眷族を探す椿。

元々務めていた社が土砂で流され社を転々とした椿は柚が言う「帰りたい家」がないと話す同僚。

その話を聞いた柚は置いてあった巻物に願いを書き込む。

 

此花亭で皆の帰りを待つ女将。

柚の持ってきた巻物が光り椿が触れると封印が解け、柚は時間を飛び越え皆の元へ帰る。

此花亭に戻り「ただいま帰りました」と言う柚の赤い頭巾に見覚えがある女将は遠い昔の神の眷族だった頃を思い出す。

 

仕えていた宇迦之御魂神に柚から話を聞いた温泉宿を作りたいと言われる椿。

椿が手に持つ巻物には「椿さんにあたたかな家ができますように。柚」と書かれており、椿はその隣に「右の者が道に迷った時、この者の帰りを待つ人たちの元へ戻れますように。椿」と書き添え封印する。 

 

 

感想:

柚が過去に行き若い頃の女将に助けてもらい、此花亭のルーツが柚だったと明かされる、なかなか面白いタイムリープ物だった第12話。

最終回として申し分のない回。

椿=女将は若干声でバレバレであったけれども、時間を飛び越えたとても素敵なお話し。

女将にとっては何百年も前の話で赤い頭巾の子に会ったとしか覚えていないのが良い所。

最後に「右の者が道に迷った時、この者の帰りを待つ人たちの元へ戻れますように。椿」と書き全ての事象が繋がるニクイ演出。

てか、女将何歳なんだろう?

 

二年参りに来た蓮「あのね。私達は神様にこの1年を無事に過ごすことができた感謝を伝えに来たの。たまに神社に来て身勝手なお願いするのなんて人間くらいよ」

すみません、毎回身勝手な願いをして本当にすみません。

このシーンで「え?」って振り返ってたの作者さんだよね。

 

巫女として働く椿「誰の願いもかなえるわけじゃないよ。私ら眷族が手助けしたいと思える相手かどうか、そして自分以外の誰かの為に願っているか」

「自分の為の願いではいけないのですか?」

「勿論さ。だってそれは自分で叶えるものだろ?」

あぁ、耳が痛い。

神に感謝も伝えてないし、自分の為のお願いしかしてません。

反省します。

 

柚の話を聞く宇迦之御魂神。

「そうじゃ、温泉を掘ろう」とか、「最近稲荷神社が増えすぎじゃ、管理しきれぬわ。あ~温泉掘って湯治したい、銭ならあるし」って銭ならあるとか言っちゃ駄目でしょ、神様なんだから。

全く柚の力になろうとしない。

挙句の果てには「どうもこうもここへ来たのも運命として、このままいればよいではないか」とか。

流石神様は大雑把だ。

その後も温泉百選に夢中で助けてくれないし。

 

いずれは離れ離れになる仲間の所になぜ帰りたいのか聞く椿。

「それは、出会ってしまったからです。みんなと出会う前の私には戻れないからです。いつか別れる日が来るとしても、それでも此花亭で出会った仲間を、沢山の方達を好きにならずにはいられないのです」と答える柚。

どこまでいっても良い子や。

 

 

 

 

最後に

優しい気持ちになれ心癒される「このはな綺譚」。

この世とあの世の間にある此花亭を舞台に、仲間との絆や訪れる様々なお客との触れ合いを描いた心温まるストーリー。

そして、ゆったりと流れる時間や四季折々の風景を楽しめる良作品だと思います。