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「少女終末旅行」感想

 少女終末旅行は2017年秋(10-12月)に放送された漫画原作のアニメ、全12話。文明が崩壊した世界で、人もほとんどいない廃墟を旅する少女、チトとユーリの日常を描いた作品。独特な終末の世界観と、少女の日常を合わせた、ちょっと新しい感覚の日常系アニメ。

 

 繁栄と栄華を極めた人間たちの文明が崩壊してから長い年月が過ぎた。生き物のほとんどが死に絶え、全てが終わってしまった世界。残されたのは廃墟となった巨大都市と朽ち果てた機械だけ。いつ世界は終わってしまったのか、なぜ世界は終わってしまったのか、そんなことを疑問にさえ思わなくなった終わりの世界で、ふたりぼっちになってしまった少女、チトとユーリ。ふたりは今日も延々と続く廃墟の中を、愛車ケッテンクラートに乗って、あてもなく彷徨う。全てが終わりを迎えた世界を舞台に、ふたりの少女が旅をする終末ファンタジーが今、幕を開ける。

girls-last-tour.com

 

  • ジャンル

SF、ファンタジー、日常系

 

  • おすすめ度

★★★★☆(星4)

 

  • 感想

 何層にも積み上げられた街や、廃墟の雰囲気、生物や植物が存在しない終末感が何とも言えずにいい感じ。

チトとユーリ以外の人物はほとんど登場せず、二人のやり取りがメインになる。

冷静で頭のいいチト、楽観的で体を動かすのが得意なユーリ。

二人の会話は淡々としてるけれど、この世界観とマッチしていて、どこか面白い。

今は当たり前の事が、当たり前ではなくなった世界だからこその会話。

そして、ちょっと哲学的。

終末という悲壮感は二人には全くないが、見てる方にはどことなく漂う悲壮感。

面白いのに、どこか哀しい・・・。とてもうまく作られた日常系だと思う。

 なぜ人類は滅んだのか?、謎が多い建造物の目的は何なのか?、都市がもの凄い階層上になっている理由は?とか、色々気になる事が多いんだけど、特に明確な答えはない。

なぜなら、チトとユーリはそんな事に興味がないから。

今の世界で生きていく二人には、昔はどうだったとか、どうでもいい。

なので、たぶんこうだったんだろうなーと、見てる方が想像するしかない。

その答えを出さない加減も非常にうまい。

 OP、ED曲両方とも良かった。また、BGMが物悲しい感じで、作品の雰囲気にマッチしていて素晴らしかった。

 

第1話 「星空」「戦争」

「星空」は、建物の中で迷い出られなくなった二人が、風を頼りに表へ出る話。

「戦争」は、壊れた兵器が沢山ある場所で食べ物を見つける話。ホントに二人しか出てこないのね。ユーリの悪ふざけが、ちょっと度が過ぎてる気もするけど、まあ、チトと合わせていいコンビなんだろう。

 

第2話 「風呂」「日記」「洗濯」

「風呂」は、寒さをしのぐ為に入った建物で、お湯を発見し風呂に入る話。風呂回なのに全然いやらしさが無いぞ。速攻で風呂作っちゃうとか、行動力の塊だな。

「日記」は、チトが大事にしてる本をユーリが燃やしてしまう話。本が大事だといった直後に燃やしてしまう、ユーリの行動が酷い。ユーリがチトの日記に「ごぬんね」と書いて謝ってたけど、まあ、この二人の場合は兄弟喧嘩みたいなものなのかも。

「洗濯」は、雪解け水が溜まった場所で洗濯をしていたら、魚を発見し食べる話。チト「なんでまったりしてんだ?」、ユーリ「水なら汲んだが?」、チト「お前も服を洗うんだよ」、ユーリ「まじかっ」って会話好き。クスッと笑ってしまった。そして魚を発見するんだけれども・・・背ビレとか何もないぞ。この時代の魚は、魚みたいな何かなのかも。

 

第3話 「街灯」

カナザワと出会い3人で上層に行き、カナザワからカメラをもらう回。二人以外の人が初めて出てきた。カナザワの「久しぶりすぎて、うまくしゃべれない」って分かるわー。何日間か喋らないと、言葉ってうまく出てこなくなるんだよね。カナザワに銃を向けてずっと警戒するユーリ。まあ、警戒するか・・・。食料とか取られるかもしれないし。ユーリが結構しっかりしてる印象に変わるシーンだね。上層に向かうエレベーターで、怖がるチトがかわいい。せっかく人と出会ったのに別れちゃうんだね。一緒に旅するのかと思ったよ。

 

第4話 「写真」「寺院」

「写真」は、カナザワから貰ったカメラでユーリが写真を撮ったり、セルフタイマー機能を発見し二人の写真を撮る回。チーズ味のレーション食べながら「なんなんだ?チーズ」、そっか、知らないよなチーズ。二人並んで写真撮るシーンがなんかウルっと来る。

「寺院」は二人が寺院に立ち寄る回。あの変な石像は神様なのか?石像は確かにチトに似てるなw。明るい寺院の中、様々な装飾が滑稽で物悲しく見えるのは、終末という世界であり、二人には何の役にも立たないものだからだろうな。

 

第5話 「住居」「昼寝」「雨音」

「住居」は、巨大な団地に来た二人が、空き部屋で自分の理想の部屋を語る回。なんだろう、物凄く悲しい話だな。今の二人の生活とのギャップが凄すぎて、本棚が欲しいとか話してるだけなのに切なくなる。

「昼寝」は、夜更かしした二人が昼寝をして、チトが夢を見る話。ユーリの口に石入れるのは酷過ぎないか?

「雨音」は、雨が降ってきたので雨宿りした二人が、雨音を音楽と感じる話。雨音からそのまま特殊EDになる演出が素晴らしい。

 

第6話 「離陸」

ケッテンクラートが故障してしまったが、イシイが現れ、修理と引き換えに、イシイの飛行機を完成させるのを手伝う回。やっと4人目の人物イシイの登場。イシイと出会った時に自己紹介するチト、ユーリの「二人合わせて~」が綺麗にスルーされてて笑える。芋をもらって食べるが・・・あれが芋?、芋ってあんなんだっけ?。「ここに居たら死んでいくだけ」という言葉が重い。この世界って、結構死が隣り合わせみたいな感じだし、ちょっとしたこういう言葉に重みがある。イシイが飛行機で飛び立つシーン、BGMと相まって感動的であり、ちょっと涙がこぼれそうになる。直後に墜落するけど。まあ、そうなるわな。ユーリの「仲良くなったのかも、絶望と」っていうセリフがなんか深い。昔スポーツ選手が「強くなるにはアンラッキーと仲良くなる」と言ってたのを思い出した。

 

第7話 「迷路」「調理」

「迷路」は、イシイが描いてくれた食糧生産施設を目指すが迷子になる回。あんなパイプの上、怖くて歩けないわ。高い所が苦手なチトが、二人の体をロープで結んで、一人が落ちたら、もう一人が反対側に落ちれば助かると・・・・なるほど、天才かっ!助からんわw。

「調理」は、芋の粉を発見し、レーションを自作する回。ユーリがみんなの顔の形をしたレーションをつくるんだけど、チトの顔が石像のそれ。

 

第8話 「記憶」「螺旋」「月光」

「記憶」は、引き出しが立ち並ぶ場所で、この場所がお墓なのではないかと推測する回。巨大な引き出しだけの建物、そして例の石像。なんだろう、見てるだけで不安で淋しい気持ちになる風景だ。こういう、意味不明な建造物が多く出てくるのも、この作品の大きな魅力だよね。色々想像してしまう。

「螺旋」は上層へ向かう柱の中の道を進む回。途中で道が壊れていて、外の迂回路を進むんだけど、危なすぎ。どう考えてもあの世行きだよな。二人の会話がなんか哲学っぽくて好き。

「月光」は、月明かりの元で街を探索、瓶に入った飲み物(たぶんビール)を発見し飲む回。月明かりの中で、酔っぱらった二人が踊りながらの特殊ED。なんだろう、やっぱり少し物悲しい気持ちになる。

 

第9話 「生命」

設備が稼働している建物の中に来た二人。そこには水槽があり、魚が一匹泳いでいた。水槽を管理する自立ロボットと出会い、水槽を解体しようとする建設ロボットから水槽を守る回。生き物は存在しないと言った直後に、水槽の中の魚を発見する二人。言った傍からいるじゃねーか。ずっと魚食べたいと言ってるユーリが可愛い。水槽で泳ぐ際に、人(ロボット)が見てるといって全裸ではなく下着姿になるチト、そして、泳げずに溺れる。チトかわいい。二人ともいい味出してる。自立ロボットによると、「地球は大きな一つの生命だったが、人類はそこからの独立を選び、水や空気、エネルギーの循環を可能とする都市を築き上げた」そうだ。ちょっと古代人が何を考えたのか分かるシーン。そして、生命の定義を考えるチト、建設ロボットを破壊する時に「ごめんね、デカい奴」って言うユーリ。生命とはなんなのか?「生命は終わりがあると言う事」これが二人が出した答え。「生命、共感、進化」と言ったキーワードを散りばめた、素晴らしい回。建設ロボットを破壊する時のBGMで、なんか泣ける。そして、黒バックにスタッフロールを流す映画のような特殊ED。この回は、一つの作品としてとても良くできてる。

 

第10話 「電車」「波長」「捕獲」

「電車」は、電車に乗り移動する回。この電車デカすぎないか?時計と時間について話す二人。時計の便利さを語るチトに「なんかめんどくさそう」と言うユーリ。ほんとめんどくさいよね。時計は人類最大の発明であり、最悪の発明だと思うわ。

「波長」は、墓から持ってきたラジオから音楽が流れてくる回。音楽について語る二人。音楽を聞くと楽しくなったり、悲しくなったりする理由を、リズムがあり波だからと考える。電波も波、光も波。まあ合ってる。そして、ラジオから流れる哀しげな音楽と夕日、チトの涙。哀愁漂うシーンだ。

「捕獲」は、ラジオから音声を出せる変な生き物を見つける回。なんだ?この生き物、かわいいぞ。

 

第11話 「文化」「破壊」「過去」

「文化」は、ヌイに銃弾をあげつつ文化について語る回。ヌイって銃弾食べるのか。食べさせようとするユーリもユーリだが。そして、またラジオから歌が流れてくる。ヌイは発信源の場所がわかるようで、そこに行く事に。

「破壊」は、巨大ロボット兵器を発見し、街を火の海にする回。突然上から破片が降ってくるとか危ねー。巨大ロボットをヌコが起動し、ユーリがミサイル発射したり、レーザー兵器で街を火の海にしてしまう。レーザー兵器は、ナウシカの巨神兵のそれにしか見えんぞ。辺りが火の海になって笑ってるユーリ。いやいや、まずいでしょ。ユーリはこういう所、悪ふざけが過ぎてて、ちょっとおかしい。そして、ヌコと写真の石像が似ている事に気付くチト。

「過去」は、音楽が聞こえる場所が原子力潜水艦で、その中に入る回。ロックされている潜水艦のハッチ開けられるヌコ・・・何者だ?。中に入ると核のマークが・・・。まあ、漏れてなければ大丈夫なんだろうけど。不穏な雰囲気のままEDへ。

 

第12話 「仲間」

潜水艦の中を探索する二人。ヌコがカメラを接続できると言い、潜水艦のモニターと接続、カメラの中には大昔からの映像が大量に入っていた。その後、大きなヌコが現れ、ユーリを食べてしまう。ユーリを救出するために、一人銃を持ち追い駆けるチト。追い着いた先で、大きなヌコはユーリを吐き出す。大きなヌコは、不安定な高エネルギーを食べ、より静的な物質へと変化させる生き物だった。この処理が終った時、地球は生命として長い営みを終え眠りにつき、ヌコ達も活動を停止するという。ヌコ達と別れた二人は、また上の層を目指し旅を続ける。

カメラの中の映像が、過去の人々の楽しげな日常や、戦争の記録で、なんか涙が出てきた。そして、ユーリが食べられた後のチトが、普段は持たない銃を持ち、涙ながらに追い掛けるシーンも泣けた。ヌコの正体がわかるのだが・・・ナウシカの樹海と蟲のソレ。声もナウシカの声なのは狙ったのかな?。なにはともあれ、また上を目指して旅を始める二人。特殊EDも雰囲気が出ていて、素晴らしい最終回だった。

 

二人の旅の先に、希望はほとんど無いのかもしれない。でも、終わるまでは終わらない旅を続けるのだろう。笑いあり、ちょっとした泣ける要素もあり、終末の物悲しさが、何とも言えない良い雰囲気を出した良作でした。