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「少女終末旅行」各話ストーリー紹介&感想:終わるまでは終わらない少女たちの日常

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

少女終末旅行は2017年秋(10-12月)に放送された漫画原作のアニメ、全12話。

文明が崩壊した世界で、人もほとんどいない廃墟を旅する少女チトとユーリの日常を描いた作品。

独特な終末の世界観と少女の日常を合わせた、ちょっと新しい感覚の日常系アニメ。

  

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◆ジャンル&キーワード

SF、ファンタジー、日常系、終末、終焉

 

◆お勧め度

★★★★☆(星4)

 

◆こんな人にお勧め

  • 日常系作品が好きな人
  • のんびりとしたい人
  • なんとなく不思議な世界観を味わいたい人
  • 世界の終末が見たい人

 

 

 

 

 

総評

何層にも積み上げられた街や、廃墟の雰囲気、生物や植物が存在しない終末感が何とも言えずにいい感じ

チトとユーリ以外の人物はほとんど登場せず、二人のやり取りがメインになる。

冷静で頭のいいチト、楽観的で体を動かすのが得意なユーリ。

二人の会話は淡々としてるけれど、この世界観とマッチしていてどこか面白い。

今は当たり前の事が、当たり前ではなくなった世界だからこその会話。

そして、ちょっと哲学的

終末という悲壮感は二人には全くないが、見てる方にはどことなく漂う悲壮感

面白いのに、どこか哀しい・・・。

とてもうまく作られた日常系だと思う。

 

なぜ人類は滅んだのか?謎が多い建造物の目的は何なのか?都市がもの凄い階層上になっている理由は?とか、色々気になる事が多いんだけど特に明確な答えはない。

なぜなら、チトとユーリはそんな事に興味がないから。

今の世界で生きていく二人には、昔はどうだったとか、どうでもいい。

なので、たぶんこうだったんだろうなーと、見てる方が想像するしかない。

その答えを出さない加減も非常にうまい

 

OP、ED曲両方とも良かった。また、BGMが物悲しい感じで、作品の雰囲気にマッチしていて素晴らしかった。

 

注意:ここからはネタバレありです。

 

 

 

 

各話ストーリー紹介&感想(ネタバレあり)

第1話 「星空」「戦争」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

文明が崩壊し、全てが滅んでしまった世界で、ふたりぼっちになったチトとユーリは、延々と続く廃墟を愛車ケッテンクラートに乗って旅をしていた。

しかし、ユーリのふとした思いつきで建物の内部に入った二人は、そのまま道に迷い、外に出ることができなくなってしまう。

陽の光も当たらない暗闇の中で、自分たちがどこにいるのかもわからないまま、時間の感覚すら失い始めた頃、眠りから目覚めたチトはわずかに流れている風に気がつく。

風が吹く方向に進み出口を見つけた二人は満天の星空に感動し、出られた記念としてスープを飲む。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

射撃の練習をするユーリ。

壊れた武器が大量に散らばる場所を、武器じゃなくて保存食作ってくれればよかったのにと昔の人に愚痴りながら散策する二人は、巨大な飛行機の残骸を発見する。

「なんで戦争するんだろう?」と疑問に思うユーリに、食料の奪い合いとかと返答するチト。

飛行機の中で爆薬とレーションを手に入れた二人。

早速レーションを分け合い食べるも、チトは最後の1本を武器を持ったユーリに奪われてしまう。

「つまりこれが戦争」とチトに銃口を突きつけレーションを食べるユーリ。

本当にレーションを食べてしまったユーリに怒り殴りかかるチトに、痛いと笑うユーリ。

散々じゃれた後、二人はまた腹を空かすのだった。

 

 

■感想 

「星空」は建物の中で迷い出られなくなった二人が、風を頼りに表へ出る話。

ホントに二人しか出てこないのね。

 

チトの夢の中の回想シーン。

多分街が襲われ、子供のチトとユーリ二人がケッテンクラートで逃げていくシーンなんだろうけど・・・重い・・・そういう時代なのだろうけれども。

二人の緊張感のない日常会話からは想像できない過去だな。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

表に出られた記念にスープを飲む二人。

「最後の一缶だからな」と言うチトの言葉に、呑気にしてるのに食料が無い状態なんだなぁと二人が置かれた辛い現実が垣間見れる。

しかし、スープを飲み顔がとろける二人は最高だ!

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

「戦争」は、壊れた兵器が沢山ある場所で食べ物を見つける話。

見つけたレーションを食べる二人。

チト「チョコ味らしいよ。チョコが何なのか知らんけど」

そっか・・・そうだよな。チョコ知らないよな。

その後のチトに銃口を向けるユーリの悪ふざけが、ちょっと度が過ぎてる気もするけど・・・まあ、チトと合わせていいコンビなんだろう。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 

 

第2話 「風呂」「日記」「洗濯」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

見渡す限り一面の銀世界をケッテンクラートに乗って走るチトとユーリ。

雪はしんしんと降り続き、ユーリは荷台でいくつもの雪玉を作っては並べながら、チトにここはどこなんだろうと尋ねるが、答えなど出るはずもなく・・・・。

吹雪の中で本格的に生命の危機を感じ始めたチトとユーリは意識を失いそうになりながら、寒さを凌げる場所を探す。

「第七十二地上発電所」と書かれた巨大な建物に入り寒さを凌ぐ二人は、雪が積もってないパイプを発見。

銃でパイプに穴をあけ、流れてくるお湯に喜ぶ二人は空き缶で風呂を作り、おじいさんの所を出てから4回目の風呂を満喫する。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

焚火をして暖を取るチトとユーリ。

日記を書きながらユーリに焚火の燃料追加を指示するチト。

読み書きができず本に興味が無いユーリは「記憶なんて生きる邪魔だぜ」とおどけて見せる。

本の素晴らしさと大事さを語るチトは日記を除いて4冊の本を大事に持ち歩いていた。

チトから本を見せてもらうユーリは、焚火の燃料と間違えて本を燃やしてしまう。

その行動に激怒し寝てしまうチト。

翌日、吹雪が止み出発する二人。

日記を見返すチトは「ごぬんね」とユーリが書いたページを発見し、間違いを指摘する。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

暖かい日が続き、大昔の都市の残った排水機能から一斉に流れ出る雪解け水。

二人は飲み水確保のためケッテンクラートを降り水汲みに向かう。

飲み水を汲み洗濯を行う二人。

ユーリは流れてる魚を発見し確保に成功する。

魚という生き物を初めて見る二人は、大昔の人同様に魚を焼いて食べてみる事にする。

初めて食べる味に驚きながら美味しいと魚を完食する二人。

空腹を満たした二人は、上層部に行けば魚が沢山いるのかもと話をし、日光浴しながら昼寝する。

 

 

■感想 

「風呂」は、寒さをしのぐ為に入った建物で、お湯を発見し風呂に入る話。

風呂回で肌色成分多めなのに全然いやらしさが無いぞ(笑)

速攻で風呂作っちゃうとか行動力の塊だな。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

おじいさんの所を出てから4回目の風呂だと言うチト。

え~!4回かよ!って思ったけど、大量にお湯湧かせないし、水浴びくらいしかできないだろうから、まあそんなもんなんだろう。

現代と違って風呂は貴重だね。

 

「日記」は、チトが大事にしてる本をユーリが燃やしてしまう話。

本が大事だといった直後に燃やしてしまうユーリの行動が酷い。

ユーリがチトの日記に「ごぬんね」と書いて謝ってたけど、まあ、この二人の場合は兄弟喧嘩みたいなものなのかも。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

「洗濯」は、雪解け水が溜まった場所で洗濯をしていたら魚を発見し食べる話。

なんか都市の映像が凄いな。

どうなってるんだ?この階層都市。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

水汲みが終わり、洗濯を始めるチトとまったり休むユーリ。

「なんでまったりしてんだ?」

「水なら汲んだが?」

「お前も服を洗うんだよ!」

「マジかっ!」

って会話が面白い。

ユーリの「マジかっ!」で思わず笑ってしまった。

 

魚を発見し駆け出すユーリ。

体をロープで結んでいたせいでずぶ濡れになるチトの顔が可愛い(笑)

そして魚を発見するんだけれども・・・尾ヒレ以外何もないぞ。

どうやって泳いでたんだ?

この時代の魚は、魚みたいな何かなのかも・・・。

食べて平気なんでしょうか?

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 

 

第3話 「遭遇」「都市」「街灯」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

巨大な溝のそばで、溝の向こう側に渡るための橋を探すチトとユーリだが、どこまで行っても延々に溝が続くだけで、向こう側に渡れそうな橋は見当たらない。

その時、煙草の匂いがすることに気がついたチトが匂いの方を見ると、まだ火がくすぶっている吸い殻が落ちていた。

近くにいる何者かを警戒し、銃を手にしたユーリにチトは弾を込めるように指示を出す。

直後爆発が起きビルが倒壊、砂埃の中からカナザワと名乗る男が現れる。

地図を作りながら旅をしてると言うカナザワは、ビルを爆破倒壊させ向こう岸に渡る橋の代わりにしたと語る。

上層へ向かう塔へ行くと言うチトたちにバイクが壊れたので乗せて行って欲しいとお願いするカナザワ。

カナザワを警戒するチトとユーリだったが、瓦礫を撤去しケッテンクラートが走行できるように手伝うカナザワを見て、ケッテンクラートに乗せてあげる事にする。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

カナザワの地図のおかげで給油設備を発見し、ケッテンクラートに給油することが出来たチト達。

上層に続く連絡塔の周りはかつての人口密集地だと言うカナザワは、階層型の都市を作ったのはもっと古い人間で、自分たちの祖先は古代人が作ったインフラに住み着いただけではないかと持論を語る。

バイクであちこち回って高い所から確認を取り地図を作ったと言うカナザワは、地図が自分の生きがいで大切なものだと言う。

チトとユーリは自分の大切なものを考えるも、そこまで大切なものが思い浮かばなかった。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

上層に続く塔に到着したチト達。

100年以上前に設置されたと思われる塔の外の昇降機に乗り込む3人。

上には人が居るかもと言うユーリに、上の階層ほど都市機能が残っている可能性はあると語るカナザワ。

高い所が苦手なチトは金網もなく剥き出しの昇降機に恐怖しユーリに掴まる。

その時、レールに何か引っかかり傾く昇降機からカナザワの地図が入ったカバンが落下、カナザワは生きる目的を失ってしまう。

夜になり上層に辿り着いた3人。

落ち込むカナザワにレーションをあげるユーリ。

レーションのお礼にカメラを渡すカナザワは、また地図でもつくるよと言い残し去っていく。

また二人になったチト達は、街灯の明かりが一番光り輝く場所を目指し出発する。

 

 

■感想

カナザワとの出会いと別れを描いた「遭遇」「都市」「街灯」。

チトとユーリ以外の人が初めて出てきた。

 

カナザワの「久しぶりすぎて、うまくしゃべれなくて」って分かるわー。

何日間か喋らないと、言葉ってうまく出てこなくなるんだよね。

 

カナザワが何か動作する度に銃を向けて警戒するユーリ。

まあ、警戒するか・・・食料とか取られるかもしれないし。

普段のお馬鹿キャラからは想像できない程のユーリの警戒心の強さに、ユーリの印象が少し変わる。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

給油を済ませ上層に続く連絡塔を目指すチト達。

相変わらず都市の外観が凄い。

一体どんな凄い文明が栄え衰退していったのか・・・。

この都市に生き物と呼ばれるものがほぼ存在しないのがまた凄い。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

この階層はほとんど地図にしたと言うカナザワ。

ユーリ「すげー!見して、見して」

カナザワ「いいけど、大切に扱ってくれよ」

チト「気を付けろよ!そいつは他人の本を燃やしたりするぞ!」

ユーリ「燃やしゃしないよ」

いやいや、君前科あるでしょ!

なに頬赤らめてんのさ!

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

昇降機にケッテンクラートを乗り入れるチト。

チト「昇る途中で壊れたりしないだろうな」

カナザワ「どうだろう?」

ユーリ「大丈夫でしょ」

カナザワ「楽観的なんだね」

チト「こいつは楽観の行き過ぎでネジが飛んでる」

えへへって照れるユーリ。

いやいや褒めてないから!誰も褒めてないからな!

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

上層に向かう昇降機で、「何で金網とか無いんだ」って怖がるチトがかわいい。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

昇降機が傾き、地図の入ったカバンを捕まえるため身を投げ出すカナザワとカナザワが落ちないように掴むチトとユーリ。

あぶねぇ。

なんて危ない状況だ。

どう考えても全員落ちてるだろ、これ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

そして、せっかくカナザワと出会ったのに別れちゃうんだね。

一緒に旅するのかと思ったよ。

 

 

 

第4話 「写真」「寺院」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

生まれて初めて見るカメラを手に試行錯誤しながらユーリの写真を撮るチトは、昔本で読んだ掛け声「はいチーズ」を使うが、ユーリから「チーズって何?」と言われてしまう。

ピントは合ったが画面が白く上手く撮れないチトは撮影を止めケッテンクラートに乗って走り出す。

カメラに興味津々のユーリはチトが首にさげているカメラを取り、写真を撮り始める。

運転中のチトに声をかけ写真を撮るユーリに、運転中によそ見をすると危ないと言うチトだったが、時既に遅くケッテンクラートは石像にぶつかり、チトとユーリは折れた石像に頭をぶつけてしまう。

夜、レーションを食べながら撮った写真を見る二人。

ユーリはレーションの袋にチーズと書いてあるのを発見し、チトは「何なんだ?チーズ」とチーズへの疑問を深める。

石像や街が全て崩れても写真に残るのはいいねと言うユーリの言葉を聞き、カメラのセルフタイマー機能を発見したチトは、ユーリと二人で記念撮影をする。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

一番明るかった建物に到着するチトとユーリは、ランタンに火を灯し建物の奥へと進んでいく。

街でも見かけた石像が多数設置してある階段を上り、神や極楽浄土について書かれた壁画の文字を読むチトは、ここが寺院だとユーリに教える。

ランタンの灯が消え真っ暗になってしまった室内でチトを探すユーリは、チトがこのまま居なくなる事に不安を覚える。

合流した二人は極楽浄土を模した光輝く部屋で食事をしながら、この部屋の意味を考える。

昔の人は安心したくてこんな作り物を作ったと推測するチトに、ユーリは暗闇でチトを見つけた時の方が安心したと話す。

 

 

■感想

「写真」は、カナザワから貰ったカメラでユーリが写真を撮ったり、セルフタイマー機能を発見し二人の写真を撮る回。 

 

ユーリの写真を撮るチト。

なんだ、その石像(笑)

怪しい、怪しさが爆発している!

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

写真撮影が楽しくなってチトを振り向かせて写真を撮るユーリ。

石像にケッテンクラートがぶつかり、石像で頭を打つ二人。

・・・これは大惨事(笑)

「運転中はよそ見しちゃダメじゃん」とチトに注意するユーリ。

相変わらずのユーリのクズっぷり。

うん、これはチト怒って良いぞ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

チーズ味のレーション食べながら「なんなんだ?チーズ」

そっか、知らないよなチーズ。

 

「不思議だよね。食べ物は食べたら減るのに撮ったらずっと残ってるって・・・。いつか街が崩れて、あの石像もみんな壊れても写真に残るって良いかも」

なんだろう、ユーリの言葉なんか深い・・・いや、何も考えてないだけだ(笑)

 

セルフタイマーを使い二人で写真を撮るチトとユーリ。

チトがユーリの髪を気にして、その後自分の髪も気にして、シャッターが切れる間にちょっと近づく二人の描写が素晴らしい。

なんだろう、ただ並んで写真撮ってるだけなのに、終末観と相まって凄くウルっとくる。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

「寺院」は二人が寺院に立ち寄る回。

あの変な石像は神様なのか?

石像は確かにチトに似てるなぁ(笑)

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

明るい寺院の中、様々な装飾が滑稽で物悲しく見えるのは、終末という世界であり、二人には何の役にも立たないものだからだろう。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

魚が作り物で食べられないと分かったユーリ。

「がっかりだよ、神様にはがっかりだよ。あんなのただの石像じゃん」

「あんまり適当言ってると罰が当たるぞ」

「でもここに来る時石像倒してきたよ」

「あんなの只の石像だよ」

「やっぱり只の石像じゃん」

結局只の石像になった(笑)

まあ、この二人には神様もクソもないよね。

この終末の世界じゃ宗教と言う考え自体無いんだし。

 

寺院の中でレーションを食べる二人。

ユーリ「でもわからないな。立派な神様も結局偽物なんでしょ?こんな大掛かりなものをわざわざ造る意味ってなんなんだろう。死後の世界なんて誰も分からないのに」

なんだろう・・・またしてもユーリの言葉がなんだか深い。

「さっきの暗闇の中でユーが言ったよね。あの世もこんな真っ暗な世界なのかなぁって。そういう風に思いたくないから石像を造って光を灯したりするのかもしれない。安心したくてさ」

「安心かぁ。むしろ私はちーちゃんを見つけた時の方が安心したけどね、暗闇の中で」

何気ない会話だけど奥深いなぁ。

結果、ユーリにとってはチト>神様の石像ってことだ。

 

 

 

第5話 「住居」「昼寝」「雨音」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

いくつもの建物が連なった巨大な団地にやってきたチトとユーリ。

電気や水道といった設備はまだ動いているが人は誰もいない。

探索を続けるうちにまだドアがついている部屋を見つけた二人が中をのぞいてみると、そこには二つのソファが残されていた。

ソファに座ったチトとユーリは一息つきながら二段ベッドや本棚、食料棚、暖房、風呂、植物など自分たちが家に欲しいものを語り合い幸せな気分になる。

結局ここに居ても食料が無いという現実からは目を背けられない二人は、この旅路が私たちの家だと冗談を言いケッテンクラートに乗り次の場所を目指す。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

昨晩、ユーリに全く勝てずムキになり遅くまで石積み勝負をして眠いチト。

ケッテンクラートの運転をしながら寝てしまったチトは、ユーリに起こされ、運転続行は危険と判断し昼寝する事に。

夢の中で巨大ユーリにからかわれるチトは吹き飛ばされ海に落下。 

その後、大きな魚の背に乗り海を泳ぐチトは魚になったユーリと遭遇し、ユーリに食べられる所で目を覚ます。

そして、隣で眠るユーリを見たチトはその口に石を入れるのだった。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

雨が降り始め屋根のある所で雨宿りするチトとユーリ。

日記を読むチトと、やることが無く暇なユーリ。

ユーリは拾った棒で辺りを叩き響く音で遊び始めるが、チトからうるさいと怒られてしまう。

水汲みのため屋根から落ちる水をバケツに集めるユーリは、雨が地面に当たった音に興味を持ち、雨粒をヘルメットに落としてみる。

ヘルメットに雨粒が当たる音を心地良いと感じるチトとユーリは、空き缶などを持ってきて様々な音色を楽しむ。

「たぶんこれが音楽と呼ばれるもの」とユーリに説明するチト。

雨が上がり、世界が綺麗に見える二人はもう暫く休んでいく事にする。

 

 

■感想

「住居」は、巨大な団地に来た二人が、空き部屋で自分の理想の部屋を語る回。

なんだろう、物凄く悲しい話だな。

今の二人の生活とのギャップが凄すぎて、本棚が欲しいとか話してるだけなのに切なくなる。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

「昼寝」は、夜更かしした二人が昼寝をしてチトが夢を見る話。

相変わらず街の描写が凄い。

どうなってるんだ?この構造。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

夢の中で巨人ユーリにからかわれ、魚ユーリに食べられそうになるチト。

だからって起きてからユーリの口に石入れるのは酷過ぎないか?

チトが勝手に見た夢なのに(笑)

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

「雨音」は、雨が降ってきたので雨宿りした二人が雨音を音楽と感じる話。

拾った棒で辺りを叩き良く響く音がするのを発見するユーリに、中空構造だと教えるチト。

「多分中空構造だよ」

「中空?」

「中が空っぽって事」

「なるほど」

「ユーの頭のように」

「なるほど」

「空っぽだと良く響くんだ」

「なるほ・・・ん?」

からの、チトの頭を叩きながら

「おお!いい音。中身空っぽなのかな?」と言うユーリと、

「お前よりは中身あるよ」とやり返すチト。

この二人の掛け合いが面白い。

やっぱり最高に仲良いな君たち。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

雨粒や雨音、雨上がりの表現が素晴らしく美しく、雨音からそのまま特殊EDになる演出に感動する。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 

 

第6話 「故障」「技術」「離陸」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

故障して動かなくなってしまったケッテンクラートを修理するチトの横で、仰向けに寝転び空を眺め鼻歌を歌うユーリ。

もっと絶望と仲良くなろうよと言うユーリに、このまま直らなかったらどこにも行けなくなってしまうとチトは溜息をもらす。

そんな時、チトとユーリは空飛ぶ飛行機と、飛行機を追いかける人を発見する。

飛行機を造ったと言うイシイはケッテンクラートを修理する代わりに、飛行機造りを手伝って欲しいとチト達に告げる。

水も電気もあり古い機械部品が沢山転がっている古い空軍基地に住んでいるイシイ。

食料生産施設も止まりここも時間の問題だと呟くイシイは飛行機を完成させこの都市を出ると二人に話す。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

お風呂を借りるチトとユーリは、イシイから風呂上りにイモをもらって食べる。

基地中の倉庫に飛行機の図面が散らばっており、それを集めてオリジナルの飛行機を設計したと言うイシイ。

その話を聞きチトは落ちそうと不安になる。

雪と風のないこの暖期を逃すと二度と飛べないと考えるイシイは、何処にも行けなくてもこの都市と共に死んでいくだけと自作飛行機で飛ぶ覚悟を語る。

コンテナのベッドで眠りにつくチトとユーリ。

街の外がどうなってるのかと疑問を口にするユーリに、チトはわからないがここに居たら死んでいくだけって言うのは本当かもねと答える。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

着々と完成していくイシイオリジナルの一人乗り用飛行機。

その合間にケッテンクラートの修理が完了し命拾いしたと喜ぶチト。

飛行機が完成し、イモと水でパーティーを行う3人。

昔は隣の都市と行き来してたらしいと古い航路図を見せるイシイは、自身の目的地が隣の都市であると明かす。

飛行機に乗り込み発進するイシイ。

イシイの飛行機は大空高く舞い上がるも、都市を抜ける前に空中分解してしまう。

パラシュートで降下するイシイは「失敗してみれば気楽なもんだな」と笑顔を見せる。

その姿を見て不思議に思うチトに、ユーリは「仲良くなったのかも、絶望と」と答える。

飛行機の事を日記に書き留めたチトは、イシイから教わったイモが残ってる食料生産施設に向け出発する。

 

 

■感想

ケッテンクラートが故障してしまったが、イシイが現れ修理と引き換えにイシイの飛行機を完成させるのを手伝う回。

やっと4人目の人物イシイの登場。

ユーリの「絶望の歌」がなんか癖になる。

 

イシイと出会った時に自己紹介するチト、ユーリの「二人合わせて~」が綺麗にスルーされてて笑える。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

イシイが住む基地へ案内されるチト達。

「近くに食料生産施設があった・・・が、今はもう動いてない」

ユーリの満面の笑みからの「すん」って一瞬で真顔になるのが笑える。

欲望に忠実過ぎるだろ!ユーリ!

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

またしても、圧倒的肌色率なのに全くエロくない風呂シーン!

謎の光さえも無い!

まあ、この二人だとエロになりようがないな。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

イシイから芋をもらって食べるが・・・これが芋?

芋ってあんなんだっけ?

どうやら私が知ってるイモとは違う食べ物のようだ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

「ここに居たら死んでいくだけ」という言葉が重い。

この世界って、結構死が隣り合わせみたいな感じだし、ちょっとしたこういう言葉に重みがある。

 

「君たちに会えて本当に良かったよ」とチトとユーリに礼を言うイシイ。

「作業の事だけじゃないさ。この瞬間を誰かに見てもらうと言う事が何より重要なんだ。誰かが見ていれば、それはきっと歴史になる」

誰かが見てれば歴史になるか・・・なんか言葉が深いなぁ。

「ねえ、もしかしたらイシイは人類最後の飛行者かもね」

「そうかもな」

その後のチトとの会話もなんか切ない。

人類は本当に終末に向かってるんだな。

 

イシイが飛行機で飛び立つシーン。

幻想的で厳かな雰囲気のBGMと相まって感動的であり、ちょっと涙がこぼれそうになる。

直後に墜落するけど(笑)

まあ、そうなるわな。

「やっぱりダメだったか。あっけないもんだな、長い間独りで、独りで頑張ってきたが。でもまあ、失敗してみれば気楽なもんだな」

失敗してみれば気楽なもんって本当にそうなんだよね。

人生の教訓だね。

亡くなったら亡くなったで、失ったら失ったで、まあ別に良いんだよ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

そして、ユーリの「仲良くなったのかも、絶望と」っていうセリフがなんか深い。

昔スポーツ選手が「強くなるにはアンラッキーと仲良くなる」と言ってたのを思い出した。

 

 

 

 

第7話 「迷路」「調理」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

イシイが描いてくれた地図に従いやって来た食料生産施設の建物の中には、大小様々なパイプが縦横無尽に組まれた空間が広がっていた。

そこから先は行けばわかるとしか書いておらず、仕方なくパイプの上を歩きながら進んでいくチトとユーリ。

しかし高いところが苦手なチトは、足を踏み外せば命を落としてしまうであろう高さに耐えきれず、その場にへたりこんでしまう。

万が一、自分が落ちた時にユーリが逆側に飛べば助かると考えたチトは、二人の身体をロープで繋ぐ。

日も落ちてきた頃、自分たちが完全に道に迷っている事を自覚する二人は、パイプの上で寝る事を避けるため先を急ぐ。

チトが踏んだパイプに穴が空き、パイプの中に落ちてしまうチト。

しかし、パイプの中は電気で照らされ、矢印もあり、完全に道になっていた。

パイプの中への入り口を見落としていたチト達は、イシイの行けばわかるの意味を理解する。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

無事に食料生産施設内に到着するチト達は、イモを発見するが1つだけしか残っていなかった。

他に食べ物が無いか施設の中を隅々まで探すチト達はイモの味がする粉を発見。

粉の食べ方を考える二人は、焼きを試すために施設内の設備で火が使える事を確認する。

さらに砂糖の袋や別の調味料の袋を発見するユーリ。

レーションの材料表示がイモと砂糖と塩だと気付いたチトは、自分たちでレーションが作れるのではないかと考え、昔おじいさんと作ったパンの要領で材料を混ぜ合わせ捏ねる。

捏ねた材料をオーブンで焼き、砂糖をふんだんに使った甘いレーションを食べる二人は「甘いって幸せだ」とくつろぐ。

 

 

■感想

「迷路」は、イシイが描いてくれた食糧生産施設を目指すが迷子になる回。

あんなパイプの上、怖くて歩けないわ。

高い所が苦手なチトが二人の体をロープで結んで、一人が落ちたら、もう一人が反対側に落ちれば助かると・・・・

なるほど、天才かっ!

助からんわ!(笑)

「落ちる時は道連れと言う事か」ってユーリに言われてるし。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

パイプの中の道を発見し安堵するチト。

「普段からこんな風に矢印があれば楽なのになぁ」

「えー!つまんないよ!」

「つまんないって・・・」

「このまま簡単についたら面白くないから別の道に行ってみるのはどう?探検。例えばあの穴とかさ」

「却下!目的地を目前にして道しるべを無視する奴がどこに・・・」

「ここにいるが」

「ほんとに辞めて」

「ごめん」

「ここにいるが(ドヤ)」じゃないだろ!

ユーリは本当に何も考えてない。

「今度メチャメチャ迷ったらもっとメチャメチャお腹空くぞ。そして死ぬ」

「そっかー。じゃあこのままでいいや」

チトが「そして死ぬ」ってさらりと言ってるが、冗談ではなく本当に死ぬからなぁ。

当然探しに来る人も居ないし、水と食料が尽きたら終わりって考えるとなんか怖い。

 

「調理」は、芋の粉を発見し、レーションを自作する回。

魚、おじいちゃん、カナザワ、イシイ、ユーリ、チトの顔のレーションを作るユーリ。

かなり似てて上手い!

ユーリは芸術家肌だな。

そしてチトの顔が石像のそれ(笑)

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第8話 「記憶」「螺旋」「月光」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

広大な敷地の中に整然と並ぶ無数の引き出しがついたいくつもの壁を通過するチトとユーリ。

ほとんどの引き出しはぴったりと閉じていて開けることができず、開けることができたいくつかの引き出しも空っぽか役にも立たない価値のなさそうなものが入っているだけ。

変な機械(ラジオ)、空の薬莢、布切れ、ボタンを発見し持ってきたユーリだったが、チトから使い道がないと言われてしまう。

壁の終わりのほうに見覚えのある謎の石像を見つけたチトとユーリは、石像の写真を撮り、カメラをくれたカナザワのことを思い出す。

カナザワとイシイの事を「もう会う事はないだろうから忘れてしまいそうだ」と言うユーリの言葉を聞き、チトはこの場所が墓であり中身は誰かに覚えておいてもらう為の目印ではないかと推測する。

そして二人は世界から誰も居なくなっても良いように石像が設置されていると考えるのだった。

 

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上層に向かう塔の外についていた昇降機が壊れていたため、内部の螺旋通路を使って上を目指すチトとユーリ。

延々と続く螺旋に目が回り始めるチトは、目の前の道が崩れているのに気付かず、ユーリから頭を殴られ間一髪ケッテンクラートを止める。

塔の外に作られた簡易的な迂回路があるが、重量のあるケッテンクラートで通るのを躊躇するチト。

他に方法が無く迂回路を進むチト達だったが、ケッテンクラートの重さに耐えられない道は崩れ始め、恐怖で目をつぶるチトとチトをフォローするようにハンドルに手を伸ばすユーリ。

なんとか元の塔の中に戻る事に成功し安堵する二人は、落ち着きを取り戻しいつものように他愛のない会話をしながら上層へと進む。

 

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上層に着いたチトとユーリは、月明かりを頼りに家の中を物色し食料や使える物を探す。

結構家は残っていたが目ぼしい物は何もなく、がっかりするチトだったがガラス瓶に入った液体を3本発見する。

「ビウ」と書かれたその飲み物を飲んでみる事にする二人。

栓を開け中から出てきた金色の水に感動するユーリ。

苦いような甘いようなシュワシュワして変な感じだけれど美味しい飲み物を堪能し、二人は3本を飲み干す。

酔っ払ったチトはユーリに戯れ始め、楽しくなった二人は月明かりの下踊り出す。

翌朝チトは頭が痛いと言いテンションが下がるのだった。

 

 

■感想

「記憶」は、引き出しが立ち並ぶ場所で、この場所がお墓なのではないかと推測する回。

巨大な引き出しだけの建物、そして例の石像。

なんだろう、見てるだけで不安になり淋しい気持ちになる風景だ。

こういう、意味不明な建造物が多く出てくるのも、この作品の大きな魅力であり、色々想像してしまう。

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カメラを見てカナザワの話をする二人。

「生きてても死んでても、もう会う事は無さそうだよね。イシイとかも」と言うユーリ。

「まあ、難しいだろうな」と返すチト。

その直後におじいちゃんが手を振るシーンが映り、哀しいBGMと合わせて泣きそうになる。

本当になんだか物悲しい世界だ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

この場所がお墓だと推測するチト。 

「きっとこの名前と持ち物は誰かに覚えておいてもらう為の目印にしたんだよ。でも、私たちみたいに通りかかる人もいなくなって、世界に誰もいなくなったら誰が憶えているんだろう?」

「それはほら、こいつがいるじゃん」

「その為の石像か!」

なるほど、その為の石像か・・・。

ユーリは相変わらず唐突に賢い事を言う。

なんだか哲学だなぁ。

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「螺旋」は上層へ向かう柱の中の道を進む回。

「死ぬのが怖くて生きられるかよー!」からのドヤ顔。

いやいやユーリ。

真理ではあるが、そんなに良い事言ってないぞ(笑)

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

途中で道が壊れていて外の迂回路を進むんだけど・・・危なすぎで、どう考えてもあの世行き。

怖くて目をつぶってしまって涙目のチトと、冷静にハンドルに手を掛けるユーリが対照的。

こういう時は役に立つよね、ユーリは。

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再び塔の中を進み上層に到着する二人。

チト「寝て起きて食べて移動して、また寝て。考えたらこれも毎日グルグルだな」

ユーリ「生きるとは、つまり螺旋の事だったんだよぉ!」

チト「グルグル回って、一体どこに辿り着くんだか」

二人の会話がなんか哲学っぽくて好き。

 

「月光」は、月明かりの元で街を探索、瓶に入った飲み物(ビール)を発見し飲む回。

月明かりの中で、酔っぱらった二人が踊りながらの特殊ED。

なんだろう、やっぱり少し物悲しい気持ちになる。

そして、そんな気はしてたけどやっぱりチトは酒弱かった(笑)

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第9話 「技術」「水槽」「生命」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

まだ所々電灯がついている薄暗い場所をケッテンクラートに乗って進んでいたチトとユーリ。

地面に何かが打ち付けられるような音に気がつくチトはユーリと共に警戒を強める。

暗闇の中から目の前に現れる長い足を持つ巨大なロボット。

ロボットは息を呑むチトとユーリの眼前を通過しまた暗闇の中へと消えていく。 

「今のは生き物か?」と問うユーリに、生き物ではなく機械であり、機械は勝手に動いたり考えたりしないので誰かが操作してたのかもしれないと答えるチト。

機械どころか地球上には人間以外の生物は存在しないと言われているとユーリに話しながら脇の階段を降りるチトは、目の前に広がる巨大水槽に一匹の魚が泳いでいるのを発見し言葉を失う。

そして二人は勝手に動くロボットから「こんにちは」と挨拶されるのだった。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

魚を食べてはいけないと忠告するロボットは、この区画を管理する自立機械であり、先にチト達が見たのは、この区画を整備する建設機械であると言う。

古代人の技術に驚愕するチト。

ロボットに施設内を案内してもらい、大はしゃぎしながら水槽で泳ぐユーリと水槽で洗濯するチト。

地球は大きな一つの生命だったが、人類はそこからの独立を選び、水や空気、エネルギーの循環を可能とする都市を築き上げ、そのインフラを維持していくのが自分の仕事だと言うロボット。

ユーリに促され水泳を試みるチトだったが、上手に泳げず溺れてユーリに助けられる。

助かったチトは地球は大きな一つの生命という言葉を思い出し、今はどうなんだろうと疑問に思う。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

突然変異で飛び跳ねるようになった魚に餌をやるロボットから、突然変異を進化の源と説明されるも理解できないチトとユーリ。

眠りにつく二人だったが、建設ロボットが周囲の解体を開始。

チトとユーリは魚を守るために建設ロボットの破壊を決心する。

管理ロボットから効果的に破壊できる部位を教えてもらったユーリは、爆薬を持って建設ロボットに飛び乗り「ごめんね、デカい奴」と呟き、建設ロボの破壊に成功する。

建設ロボの残骸を見るチトは「人も機械も魚も都市も生きていて、それもいつか終わりが来るんだ」と呟き、生命とは終わりがあるって事じゃないかと言うユーリの言葉に頷く。

 

 

■感想 

水槽を管理する自立ロボットと出会い、水槽を解体しようとする建設ロボットから水槽を守る回。

 

人間以外の生き物は存在しないとか、機械は勝手に動いたり考えたりしないと言った直後に、水槽の中の魚と自立型ロボットを発見する二人。

おいおい、言った傍からいるじゃねーか(笑)

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

ずっと魚食べたいと言ってるユーリが可愛い。

 

自立ロボットによると、「地球は大きな一つの生命だったが、人類はそこからの独立を選び、水や空気、エネルギーの循環を可能とする都市を築き上げた」そうだ。

ちょっと古代人が何を考えたのか分かるシーン。

 

水槽で泳ぐ際に人(ロボット)が見てるといって全裸ではなく下着姿になるチト。

そして案の定泳げずに即行溺れる。

チトかわいい(笑)

二人ともいい味出してるなぁ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

建設ロボットの破壊は「殺す」と言う事になるのかと生命の定義について考えるチト。

建設ロボットを破壊する時に「ごめんね、デカい奴」と言うユーリ。

一連のシーンはBGMがなんか泣ける。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

生命とはなんなのか?

「私も魚もこれでもう少し長く生きられそうです。勿論、いつかは死にますが」とお礼を言うロボット。

「人も機械も魚も都市も生きていて、それもいつか終わりが来るんだ」

「ねえ、ちーちゃん。生命って終わりがあるって事なんじゃないかな」

「そうだね」

これが二人が出した答え。

「生命、共感、進化」と言ったキーワードを散りばめた素晴らしい回。

そして、黒バックにスタッフロールを流す映画のような特殊ED。

この回は、一つの作品としてとても良くできてる。

 

 

 

第10話 「電車」「波長」「捕獲」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

駅のホームにやってきたチトとユーリは、そこに到着した電車にケッテンクラートで乗り込む。

瞬く間にスピードを上げて進んでいく電車の窓の外に広がる巨大なプラントが立ち並ぶ施設に圧倒される二人。

電車はトンネルへと進み見るものがなくなってしまったチトとユーリは、暇を持て余し、電車の先頭車両へ行こうとケッテンクラートを走らせる。

走ってる電車の中を走ってる自分たちは凄い速度だと喜ぶユーリは、地球の自転もあるとチトに教えられ頭が混乱する。

その後時計を発見するユーリは、昔の人は皆時計を身に着けていたと聞き「なんか面倒くさそう」と漏らす。

自分たちも食料と言う時間の制限があると言うチトの話を聞き、ユーリは食料があるうちにドンドン進もうと提案する。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

電車を降り、建物の下層内を進む二人。

ユーリは墓から持ってきたラジオから変な音が聞こえるとチトに話す。

聞こえてきた音の真似をして、悲しい感じがしたと言うユーリにそれは歌だと答えるチト。

楽しい気持ちになったり悲しい気持ちになったりする力が音楽にはあるのかもと言うチトは、音波は波のリズムで、光も波の仲間だと話を続ける。

昇降機で上に昇り外に出た二人は、ラジオから流れる音楽と、外の夕陽を見て悲しい気持ちになる。

夕陽の赤が悲しいリズムなんだと言うユーリに、チトは光の波のリズムかと納得する。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

水の流れる音がする都市に空いた大きな穴に降りてみる二人。

そこら中に武器の残骸が残る場所で、昔戦いが何度かあったのではないかと推測するチト。

穴から食べ物が出てこないかなぁと穴の中を除くユーリは、穴の中に得体の知れない生き物を発見する。

チトと二人で生き物の捕獲に成功するユーリ。

チトやユーリの言葉を真似してラジオから音声を出す何だか分からない生き物を見たチトは、言葉を喋るようなのは食べられないと生き物を逃がす。

その場を離れるチト達だったが、変な生き物はチト達の後を付いてくる。

その姿を見たチトはやっぱり連れてくと変な生き物を抱きかかえるが、ちょっと怖いとユーリに手渡す。

 

 

■感想  

「電車」は、電車に乗り移動する回。

この電車デカすぎないか?

 

電車の中を先頭に向かいケッテンクラートで走る二人。

「私たちって走る電車の上に乗って走ってるじゃん。つまり、いつもより凄い速さで走ってる事になる!」

そこに気付くとは!

やはりユーリは天才か!

チトから地球の自転を教わるユーリ。 

「それはどのくらいの速さなの?」

「正確な数字は分からないけど1日で地球を一周する速さだな」

「まじかよ。速すぎる。ちょっと待って!じゃあ私たちは毎日地球を一周してたって事?」

「そうとも言えるな」

「ヤバすぎる」

「ヤバいのはお前の頭だよ」

やっぱりユーリはアホだった。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

時計と時間について話し先を急ぐチトに話しかけるユーリ。

「走ってる列車の上で急いでもしょうがないじゃん!」

「確かに」

「回ってる地球の上で急いでもしょうがないじゃん!」

「いやそれは違う」

やはりユーリは天才か!

なんだろう、新たな名言だな。

「昔の人はみんな時計を身に着けていたらしい」と言うチトに「なんで?」と訊くユーリ。

「そりゃ、便利だからだろ。何時迄にこれをしなきゃとかの目安になるし」

「便利と言うか、なんか面倒くさそうだなぁ。急ぐのは苦手」

ほんとめんどくさいよね。

時計は人類最大の発明であり、最悪の発明だと思うわ。

 

「波長」は、墓から持ってきたラジオから音楽が流れてくる回。

音楽について語る二人。

「なんか悲しい感じがしたなぁ」とラジオから流れてきた音の話をするユーリに、

「音楽って悲しくなったりするもんなんだっけ?」と返すチト。

音楽って何だって所から話をしてるのが・・・なんともこの時代らしいというか何というか・・・ちょっと悲しくなる。

音楽を聞くと楽しくなったり悲しくなったりする理由を、リズムがあり波だからと考えるチトとユーリ。

音波も電波も波、光も波。

まあ言ってる事は合ってる。

 

昇降機で上に昇るも、昇降機が減速せず物凄いスピードで激突し吹っ飛ばされる二人。

危ねえ。

相変わらず危ねえ。

泣き叫び放り出されるチトと、全く焦らず綺麗に着地してるユーリ(笑)

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そして、ラジオから流れる哀しげな音楽と夕日、チトの涙。

哀愁漂うシーンだ。

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「捕獲」は、ラジオから音声を出せる変な生き物を見つける回。

なんだ?この生き物、かわいいぞ。

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第11話 「文化」「破壊」「過去」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

猫のような謎の生き物を拾ったチトとユーリ。

ヌコという名前らしいその生き物に銃弾を食べさせているユーリを見て、驚くチトだったが、銃弾を気に入ったヌコはもっと食べたいとねだる。

ユーリが拾ってきた大小様々な銃弾の中でも大きな20mmの銃弾を頬張るヌコを横目に、建物の中に何かを見つけたチトは、ケッテンクラートの進路を変えて建物の中へと入っていく。 

戦車が並ぶ建物の中で本を拾い喜ぶチトだったが、古い遠い場所の文字で読むことが出来ず文化の違いを感じる。

街中でよく分からない動くオブジェを発見し遊んでいるとラジオから歌声が流れてくる。

その歌を好きと言うヌコは歌が聞こえてくる方角を示し、チトとユーリは歌の発信源に行ってみる事にする。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

ヘルメット要らないんじゃないかという話をしていると、突然頭上から巨大ロボットが落下してきて慌てて回避するチト達は、興味本位で落下したロボットのコクピットに入ってみる。

ヌコがコンセントのような壁の穴に手を入れコクピットの電源が入り、モニターに映し出される画面を見て動くんじゃないかと驚くチト。

ユーリがレバーを動かすとミサイルが発射され街に落下。

面白がるユーリはチトの制止を聞かず、他のレバーも引きレーザー砲を発射、街は火の海と化してしまう。

武器の凄すぎる威力にケタケタ笑うユーリ。

チトは笑い事じゃないとユーリを殴りつける。

外に出るのは危険なので、ロボットの中で夜を明かすことにした二人。

写真を見ながら日記を書くチトはヌコが謎の石像に似ていると感じる。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

給油を行うチトとユーリは、零れた燃料を美味いと飲むヌコに驚く。

風力発電の装置が沢山並ぶ場所を歌の発信源に向け進む二人。

チトはその風景を森みたいだと例え、今みたいに機械ばかりになった経緯や過去は分からないと呟く。

未来の事はわかるねと返すユーリに、チトは色んな事を知ろうとするには人の寿命は短すぎて、遠い未来の事もやっぱり分からないと答える。

歌の発信源である潜水艦を見つけた二人は、ヌコにハッチを開けてもらい中に侵入、放射線(核)のマークがあり動力が動いている潜水艦の中を探索し始める。

 

 

■感想   

「文化」は、ヌコに銃弾をあげつつ文化について語る回。

ヌコって銃弾食べるのか。

食べさせようとするユーリもユーリだが。

「20たべてぇ」

「食えないものに価値はねぇ、モガモガ」

とかユーリみたいなこと言い始めるヌコがやけに可愛い。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

 

そして、何だこのオブジェ?

動いてるし時計かな?・・・時計だったもの・・・かな?

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

そしてラジオから流れる歌を好きと言い、流れてくる場所がわかると言うヌコ。

何者なんだ・・・。

 

「破壊」は、巨大ロボット兵器を発見し、街を火の海にする回。

ヘルメット要らないんじゃないかと話をするユーリ。

「上から何か降ってくるかも知れないし」と答えるチト。

「いやぁ、そんなのメチャクチャ運悪くないと当たらないでしょ」

「わからないよ、万が一ってことも・・・」

からの突然上から降ってくるネジ(笑)

「すげー!ほんとに落ちてきた。ちーちゃん運悪いなぁ」

からの大惨事!

破片が大量に降ってくるとか危ねぇ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

巨大ロボットをヌコが起動し、ユーリがレーザー兵器で街を火の海にしてしまう。

レーザー兵器はナウシカの巨神兵のそれにしか見えんぞ。

辺りが火の海になって驚くチトと「すごすぎ!」ってケタケタ笑ってるユーリ。

いやいや、まずいでしょ。

ユーリはこういう所、悪ふざけが過ぎててちょっと頭おかしい。

「笑い事じゃねーよ!」とチトのグーパンチ炸裂。

そりゃそうよ。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

「過去」は、音楽が聞こえる場所が原子力潜水艦でその中に入る回。

何処までも続く風力発電用の設備が凄い。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

潜水艦を発見する二人。

「ねえ、これなんだと思う?」とユーリに問うチト。

「デカくて強そうなものは大抵・・・」

「兵器」

潜水艦が何なのか分からないよなぁ。

ロックされている潜水艦のハッチ開けられるヌコ・・・何者だ?

中に入ると放射線(核)のマークが・・・。

まあ、漏れてなければ大丈夫なんだろうけど。

不穏な雰囲気のままEDへ・・・なんだろうとても不安になるし怖い。

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第12話 「接続」「仲間」

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

巨大な潜水艦の中を探索しながら、昔の人々がどんな暮らしをしていたのか知りたいと言うチト。

潜水艦の中で見つけたチョコレートを食べるユーリに、チトがカメラを向けてファインダーを覗くと、そこに何か文字が浮かび上がる。

「接続できる」とチト達に言うヌコ。

何が起きているのか把握する間もなく、チトとユーリの前に浮かび上がったのは、これまで撮影してきた写真の数々だった。 

さらにカナザワが撮影した写真や、人類が沢山いた頃の大昔の写真や動画が映し出される。

幸せそうな家庭や学校の様子、コンサート風景や戦争の映像・・・それらを見た二人は少しだけ寂しくない感じがするのだった。

 

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

潜水艦の中で眠るチトとユーリ。

目覚めたユーリはヌコを探すも、目の前に現れたのは巨大なヌコだった。

起きてきたチトの目の前でユーリを丸のみした巨大なヌコはその場から立ち去る。

驚き一瞬パニックになるチトだったが、ユーリを何としても失いたくない思いで武器を持ちそこに居たヌコを連れて巨大ヌコを追いかける。

潜水艦の外で巨大ヌコから吐き出されたユーリと合流するチト。

「人間を食べたりはしない」と潜水艦の通信設備を使い話し掛けてくる巨大ヌコは、食べたのはユーリではなくユーリが持っていた高エネルギーを持つカメラだと言い、自らを熱的に不安定な物質を取り込み分解し静的状態にする存在だと語る。

地球は眠りにつくと語る巨大ヌコは、現在生きている人間はチトとユーリの二人しか知らないと言い残し、ヌコを連れて去っていく。

地球が終わっても二人でいればそれでいいとお互いの大切さを確認し合うチトとユーリ。

二人は再び都市の頂上を目指し出発する。

 

 

■感想   

潜水艦の中で昔の写真や動画を見て、ヌコの正体がわかり、また二人で旅を始める最終回。

はぁ、なんだか色々切ない。

 

潜水艦の中でチョコを発見するユーリ。

「くんくん。あれの臭いがする」

「大丈夫かな?なんか黒いけど」

「食べられるものは、食べられる・・・う、うまい」

「う、うまい」

「これってあの味だよね。チョコの味。甘い」

「ああ、確かに。食べ物の事はよく覚えているんだな。もしかしてこれがチョコなのかもしれない」

「いや、チョコ味の何かでしょ」

「だよね」

いやいや、それがチョコやでユーリ。

ちょっとした会話だけど面白い。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

カメラの中の映像が過去の人々の楽しげな日常や戦争の記録で、なんか涙が出てきた。

ここまで一切出てこなかった人々の描写が一気に出てきて感慨深い。

映像内でわかる事。

  • カナザワには彼女がいた
  • ユーリがラジオを取った場所はチトの予想通りお墓だった
  • 隣国が宣戦布告というニュースがある
  • 大規模な空襲というニュースがある
  • 我が国は大勝利を収め隣国の死者は5億人を超えというニュースがある
  • 多数の巨大ロボットがレーザー砲を放ちながら都市を歩く描写がある
  • 電磁波爆弾の使用を通告。全ての電子機器はその機能が失われ・・・
  • 各都市各階層との通信が途絶し・・・

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

そして、ユーリが食べられた後のチトが普段は持たない銃を持ち、涙ながらに追い掛けるシーンも泣けた。

転んで銃を暴発させる辺りが、今までにない程チトが焦ってる感じが出ててうまい。

まあ、最後はデカいヌコに半身食われてるユーリが間抜けすぎて笑えるのだけれども。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

ヌコの正体がわかるのだが・・・ナウシカの樹海と蟲のソレ。

声もナウシカ役の島本須美さんなのは狙ったのかな?

「我々は熱的に不安定な物質を取り込み、体内で分解してより静的な状態に安定させる。この処理が終わった時、地球は生命の長い営みを終えて再び眠りにつくだろう。その時、我々も眠る。この都市での活動はほとんど終えた。やがて都市はゆっくりと停止していくだろう。我々は最上層以外ほとんどの場所を観測しているが、現在生きている人間は君たち二人しか知らない」

この語りがBGMと相まって非常に物悲しい。

「ねえ、ちーちゃん。地球終わるんだって」

「うん。でも、世界が終ろうとどうでもいい事だろ。私とユーが居れば、それでいい」

「この歌声、あいつらのモノだったんだね。きっと絶望と仲良くなったんだよ。だから悲しげなんだ。終わりの歌だから」

「そうかもね」

地球終わっても二人にはあんまり関係ないとか、終末を生きている二人ならではの会話だなぁ。

ユーリがよく言う「絶望と仲良く」ってフレーズは、この作品の根底にあるメッセージの一つだよね。

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©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

 

なにはともあれ、また上を目指して旅を始める二人。

特殊EDも雰囲気が出ていて素晴らしい最終回だった。

 

 

 

 

最後に

二人の旅の先に希望はほとんど無いのかもしれない(というか無いのだろう)。

でも、終わるまでは終わらない旅を続けるのだろう。

終末の日常ののんびりとしたテンポの中に、笑いあり、ちょっとした泣ける要素もあり、終末の物悲しさが何とも言えない良い雰囲気を出した良作でした。