(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
「ユリ熊嵐」は2015年冬(1~3月)放送のオリジナルアニメ作品、全12回。
クマとヒトが断絶の壁で不可侵な状態となった世界で、ヒトである椿輝紅羽とクマである銀子の友情を描いたファンタジー作品。
◆ジャンル&キーワード
SF、ファンタジー、恋愛、百合、クマ、幾原監督作品
◆おすすめ度
★★★★☆(星4)
◆こんな人にお勧め
- 不思議な感動を味わいたい人
- 「少女革命ウテナ」や「輪るピングドラム」など幾原監督作品が好きな人
- 純愛モノが好きな人
- 百合表現に抵抗のない人
目次
総評
「少女革命ウテナ」や「輪るピングドラム」など難解な感じの幾原監督作品ではあるけれども、内容は比較的分かり易く純愛を描いている。
分かり易いと言っても比喩的表現が多用されていたり何のことやらさっぱりわからないと云う状態に陥ることもある。
それでも雰囲気で視聴してれば楽しめる作りになっているし、深く考え考察しても楽しめる作りになっている。
「クマって何だよ」とか「断絶の壁って何だよ」「ユリ裁判って何だよ」とか考えてもいいし考えなくてもいい。
そういう世界のファンタジー作品だと思ってるので私は考えない派。
正解は無いので視聴したいように視聴しましょう。
百合ものなので男女の愛は描かれないが、親子愛、姉弟愛、友情等々、様々な愛が描かれる。
色々と愛について考えさえられ、作品として出している一つの解に納得と共感ができる。
過去回想を多用しており、「実は・・・」と云う事が多い。
最初は良くわからない登場人物たちの行動も段々と理解できるようになり、様々な事実がドンドン判明し話が盛り上がっていく作りが巧い。
最終回のエンディングで流れるOP曲を聴き感動で涙が止まらないけど、なんで泣いてるのかよく分からない・・・そんな不思議なお話し。
注意:ここからは、ネタバレありです。
各話ストーリー&感想(ネタバレあり)
Episode1:私はスキをあきらめない
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
ある時、小惑星クマリアが爆発し破片が地球に降り注ぐ。
その影響で地球上のクマが一斉に決起し人類に襲いかかる。
人類は「断絶の壁」を築きヒトとクマの世界を不可侵な状態とする。
嵐が丘学園に通う椿輝紅羽(つばきくれは)のクラスにクマである百合城銀子(ゆりしろぎんこ)と百合ヶ咲るる(ゆりがさきるる)が壁を越えヒトの姿に化けて転校してくる。
教室で紅羽を見た銀子は「ついに見つけた」と呟く。
お昼、教室を出ていく泉乃純花(いずみのすみか)を追う紅羽は、屋上で純花を見つけ一緒にお昼を食べお互いのスキを確認する。
二人を目撃する銀子は「あの子が食べたい」とるるに言う。
透明な嵐によって、紅羽と純花は育てていた花壇の百合の花を全て切られてしまう。
それでもスキを諦めず純花を守るという紅羽。
そこに百合園蜜子(ゆりぞのみつこ)が現れ、クラス委員としてこれ以上見て見ぬフリは出来ないと告げ、3人で嵐に立ち向かおうと言い、翌朝花壇を直す約束をする。
翌朝、クマに襲われ食べられてしまう純花。
クラスメイトは透明になり群れていないのが悪いと言う。
悲しむ紅羽の元に非通知着信があり「あなたのスキは本物?これは断絶の壁からの挑戦です。あなたのスキが本物なら屋上に行くがいい。クマがあなたを待っている」と告げる。
ライフルを片手に屋上に向かう紅羽は屋上でクマとなった銀子とるるを発見し襲われる。
断絶のコートでユリ裁判が開かれる。
壁を越えて人の世界に入り込み人を食べようとしている被告の銀子とるる。
裁判長は透明になるか?人を食べるか?と銀子に問い、スキを諦めない銀子は人を食べると答え承認される。
保健室で目を覚まし何が起こったか覚えていない紅羽に純花はまだ見つかっていないと告げる蜜子。
保健室を後にし花壇に向かう蜜子は「たとえ罪でもスキを壊す者は許さない」と人間を食べる銀子とるるを目撃する。
感想:
クラスから浮いている純花と友達以上の関係にある紅羽、紅羽を狙うクマの銀子とるる、 そして純花がクマに食べられる事件が描かれる第1話。
独特な世界観があり導入部分で訳が分からないのは幾原作品の伝統なので気にしてはいけない。
クマの姿の銀子とるるがマスコット的でかわいく「ガウガウ」の語尾が印象的。
断絶のコートで行われるユリ裁判。
突然始まる演出に何が何やらわからないが、毎度の幾原監督だと思う事にする。
Episode2:このみが尽きても許さない
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
純花の告別式が行われ、紅羽がまた大切なものを失ったと悲しむ教師の箱仲ユリーカ(はこなかユリーカ)。
銀子とるるがクマである事を知った蜜子の元に百合川このみ(ゆりかわこのみ)が現れる。
群れの空気を読まない者は排除の対象になり透明な嵐に巻き込まれると知りながらも、純花へのスキを諦めない紅羽が気になる蜜子。
このみは紅羽を気に掛ける蜜子に嫉妬する。
学校を休んだ紅羽の家に部屋を貸してくれと銀子とるるが押しかけてくる。
部屋は貸さないと断る紅羽。
紅羽に会う為にここにきたと言い紅羽に迫る銀子だったが、ライフルを持った蜜子が現れ銀子とるるは逃走する。
紅羽の元に非通知着信があり「屋上でクマが待っている。その身をクマに委ねればあなたのスキは承認される」と告げる。
純花へのスキのためライフルを持ち屋上に向かう紅羽。
そこには蜜子の事が好きで紅羽が許せない正体を現したクマであるこのみが居た。
弾が当たらずに焦る紅羽だったが、屋上に蜜子が現れクマになったこのみをライフルで撃つ。
クマを撃退した蜜子は紅羽と純花は本当の友達だったと語り泣いていいと紅羽を抱きしる。
透明な娘は不味く、排除されスキを諦めない個体だけが本当に美味しいと語る正体がクマである蜜子。
純花の事を美味しかったと言う蜜子は「紅羽を早く食べたい」と願う。
感想:
このみも蜜子もクマであり、純花を食べた真犯人が蜜子である事がわかる第2話。
お前もクマだったのかよって感じで2話にして衝撃の展開。
紅羽の周りはクマばっかりか。
透明にならず群れの空気を読まない者は排除の対象になる事、そして透明な娘は美味しくない事等、少しずつ設定が明かされていく感じがたまらなく面白い。
そして意味あるのか無いのかさっぱり分からず、単なる尺稼ぎなんじゃないかと思える断絶のコートで行われるユリ裁判。
セクシー、クール、キュートの会話が面白い。
Episode3:透明な嵐
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
亡くなった紅羽の母椿輝澪愛(つばきれいあ)と親友だったユリーカは大切なものを失った紅羽を慰め勇気付け、澪愛との想い出の花壇を紅羽が甦らせてくれた事に礼を言う。
紅羽はユリーカに学園のどこかにクマがもう一匹いるはずと告げる。
クラスでは群れを重んじて空気を読まないヒトを悪と見なす「排除の儀」が開かれた。
議長鬼山江梨子(おにやまえりこ)のもと紅羽が排除されるべき者に選ばれ、これで紅羽が食べられると喜ぶ蜜子。
純花との想い出に浸りスキを諦めないと誓う紅羽の元に非通知着信が入る。
ライフルを持ち屋上へ向かった紅羽は、正体を現し真相を語る蜜子と対峙する。
断絶のコートでユリ裁判が開かれる。
紅羽を助けるために今すぐ承認を求める銀子は、人を食べると答え承認される。
クマになった蜜子をライフルで撃った紅羽はクマがヒトに化けている事に驚き、銀子とるるの前で気絶する。
江梨子を花壇に呼び出す銀子とるる。
二人は江梨子にクラスメイトの赤江カチューシャ(あかえカチューシャ)を食べた事を告げ、驚く江梨子を食べる。
感想:
正体を現した蜜子が紅羽に撃たれ、銀子とるるは紅羽を助ける第3話。
予想外に展開が早い。
「友達は何より大切ですよね?いまこの教室にいる友達、それが私たちです。
その私たちの気持ちを否定する人って最低ですよね。
私たちから浮いている人って駄目ですよね。
私たちの色に染まらない人は迷惑ですよね。
そういう空気の読めない人は悪です。
泉乃純花さんはそのせいでクマにやられてしまいました。
仕方ありませんよね。
彼女は悪だったんですから。
私たちは次に排除する悪を決めなければなりません。
Let's search evil!」。
村八分とか同調圧力といった個ではなく群れを大事にする日本の悪い部分が垣間見れる排除の儀。
抽象的な描き方が多い作品の中で、結構具体的に表現してるのが印象的。
Episode4:私はキスがもらえない
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
【回想】
12年前。
断絶の壁がヒトとクマを隔てる前、とあるクマの王国の一人娘だったるる姫は皆から愛されていた。
そんなある日、跡継ぎとなるみるん王子が生まれるるはこの国の一番ではなくなった。
数年後、幼い王子に夢中になる王国。
るるはみるんを憎み邪魔だと考えていたが、るるの事が大好きなみるんは姉にキスして欲しくるるの為に「約束のキス」を取ってくると言う。
みるんを葬り去るチャンスだと考えたるるは、約束のキスを取りに行くみるんを谷底に突き落とす。
ボロボロになり蜂蜜の壺を約束のキスだと言い笑顔で持って帰ってくるみるん。
驚いたるるは蜂蜜の壺を遠くに投げ飛ばしてしまう。
何度死の淵に突き落としても繰り返しるるの下へ帰ってきて蜂蜜の壺を抱えキスをせがむみるん。
そんなある日、ちょっとした事故でみるんは亡くなってしまう。
1年ほど前。
この国の一番に返り咲いたが虚しさに包まれていたるるの元に、みるんの蜂蜜の壺を持った銀子が現れる。
失ったものを忘れたら本当に失ってしまうと言う銀子。
るるはみるんの事を始めから大嫌いで大好きだったと涙する。
スキを貰った子に会い約束のキスをするため断絶の壁の向こうへ行くと言う銀子。
会えば殺されるかも知れないと言うるるに銀子は「私は罪グマだから大丈夫、私はスキを諦めない」と答える。
自分の代りに約束のキスを銀子が果たしてくれると考えたるる。
自分も罪グマだから連れて行ってくれと銀子にお願いするるるは、断絶のコートにてスキを諦めず既に失われてしまったキスを諦めると宣言し人間の女の子にしてもらう。
そして銀子とるるは断絶の壁の向こうへと旅立つ。
感想:
るると銀子の出会いを描いた過去回想回な第4話。
本当は弟の事が大好きだったるる。
弟を失い約束のキスが永遠に失われたるるが哀しくてしんみりする話しでちょっと感動してしまった。
いつも馬鹿な事言って明るいるるだけど、銀子とヒトの世界にやってきた理由がわかり、るるの見方がちょっと変わるそんな話し。
銀子がヒトの世界に来た理由も「スキを貰った子に会い約束のキスをするため」と判明。
なんだか良くわからなかった二人の行動が少しハッキリした。
Episode5:あなたをヒトリジメにしたい
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
【回想】11年前、家の庭で母と銀子と一緒に写真を撮る紅羽。
蜜子の一件から自宅療養をしていた紅羽の家に引っ越してきた銀子とるる。
透明な嵐から紅羽を守るため紅羽に近づく二人だが、紅羽は自分と関わると透明な嵐に巻き込まれ排除されると忠告し二人を拒絶する。
蜜子の件をユリーカに話す紅羽だったが、クマがヒトに化けていた事を信じて貰えない。
ユリーカは17歳の時澪愛へスキを忘れない印として星形のペンダントを送った話をし、紅羽に新しい友達を作る事を提案するが、紅羽は自分の友達は純花だけだと部屋を出て行ってしまう。
屋上で昼食を一人食べる紅羽を見る銀子は11年前の戦場で倒れる自分に「大丈夫一人ぼっちじゃない。私はあなたの友達だよ」と声をかけてくれた紅羽を思い出す。
教室で針島薫(はりしまかおる)が紅羽と純花に償いたいとクラスを代表し謝ってくるが、紅羽はあなた達には負けないと突っぱねる。
紅羽の家で紅羽の好物である塩辛とナポリタンの晩御飯を作る銀子とるる。
帰ってきた紅羽は自分の友達は純花だけだと怒る。
本当の事を言うと人間の女の子ではいられなくなる銀子とるる。
るるは早く紅羽が銀子の事を思い出して欲しいと願う。
【回想】一月前、純花から誕生日の日に花壇で読んで欲しいと手紙を貰う紅羽。
純花は手紙の中身はプレゼントだと言う。
クラスメイトにより花壇が綺麗になっている事を知る紅羽。
薫は透明な嵐が壊してしまった場所を元に戻したいと紅羽に謝り、花いっぱいの花壇で紅羽の誕生日を祝いたいと言っていた純花の願いを叶えたいと言う。
誕生日である日曜日に向けてクラスメイトと共に花壇を再生していく日々を過ごす紅羽。
しかし、薫たちの行動は紅羽を陥れる罠であり、教室にて排除の儀が行われ悪は紅羽に決定する。
銀子とるるは透明な嵐から紅羽を守るため薫を食べる承認をユリ裁判にて得る。
薫を呼び出し食べようと襲い掛かる銀子だったが、銀子とるるがクマである事を知っていた薫の罠にかかってしまう。
感想:
銀子と紅羽が11年前に会っていた事、その事を紅羽が忘れている事、銀子たちは紅羽に真実を伝えられない事が判明し、紅羽を助けるために薫を食べようとした銀子が罠にかかってしまう第5話。
かなり過去の事が明かされ話が見えてきた。
今まで紅羽を透明な嵐から守る為、クラスメイトを食べていた銀子とるる。
しかし、今度の薫は紅羽に仲良くなるフリをしたり、銀子たちに罠を仕掛けたりずる賢く頭が切れてやっかいだ。
Episode6:月の娘と森の娘
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
【回想】入学式の日、祖母がくれた髪留めを落としてしまい探す純花。
クラスメイトが遠巻きにその姿を見る中で髪留めを発見し純花に渡す紅羽。
これをきっかけに二人は仲良くなる。
紅羽の家で澪愛がクマに殺される前に書いた絵本を読む紅羽と純花。
「月と森に分けられた世界。
月の娘が母の大切なペンダントを森に落とし、森の娘が拾う。
クマリア様に森に行きペンダントを探したいと願う月の娘と、月に行きペンダントを落とした人に届けたいと願う森の娘。
願いを叶える為、空の真ん中の友達の扉へ行き約束のキスを与えなさいと言うクマリア様。
空の真ん中に来る二人。
そこには大きな鏡があり、鏡を砕けば友達に会えるが命を落とすかもしれないと言うクマリア様。
二人は鏡に映る自分の姿を見つめる・・・。」
途中で終わっている物語を読み終えた紅羽は、自分ならスキを諦めない為に鏡に映った自分を撃つと純花に告げる。
教室で紅羽を悪とする為の排除の儀が行われが、純花が紅羽に投票せず満場一致にならないため悪が決まらず、純花は裏切り者として排除されることになる。
スキを諦めない為、自らの望んで嵐の中に飛び込んだ純花は紅羽に最後の手紙を書く。
紅羽の誕生日の日。
綺麗になった花壇の前でクラスメイト達による紅羽の誕生会が開かれる。
純花の手紙を開ける紅羽。
手紙には「今目の前にいる娘があなたの新しい友達です」と書かれていた。
誰もあなたと友達にならないと言う薫。
純花と紅羽を陥れるため純花に手紙を書かせたと語る薫は、クラスメイトと共に花壇を焼き払い悪は透明な嵐によって打ち砕かれたと宣言する。
心が折れ愕然とする紅羽にスキと言う気持ちは無力と煽り純花の手紙を炎の中に捨てる薫。
そこに薫の罠にかかるもるるの機転で何とか逃げ出し怪我だけで済んだ銀子が現れ、炎の中に飛び込み手紙を回収する。
銀子のスキを無駄にしないでと、回収した手紙を紅羽に渡するる。
銀子とるるの前でもう一度手紙を読む紅羽「今目の前にいる娘があなたの新しい友達です」。
【回想】純花が食べられた朝。
銀子は蜜子に襲われる純花を影から覗き見殺しにする。
感想:
紅羽と純花の過去話で、純花がクラスから排除される理由が明かされ、薫の策略により紅羽が絶望するも手紙により純花の最後のプレゼントが銀子とるるだと分かる第6話。
手紙を2度使う演出が巧すぎる。
薫の前で読んだ時は紅羽に絶望を与え、銀子とるるの前で読んだ時にこれが本当の純花の最後のプレゼントだとわかる。
ちょっと感動した。
純花を見殺しにする銀子。
「貴方を独り占めしたい」「貴方の一番になりたい」と言っていたので紅羽を独り占めしたいが故の行動。
「自分は罪グマ」と言っていたのもそのせいかな。
Episode7:私が忘れたあの娘
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
【回想】「こうして約束のキスを果たした二人は断絶を越えて旅立ちました」紅羽と銀子の物語として絵本を紅羽に読む澪愛。
しかし、紅羽は銀子の事を知らないと言う。
紅羽の家の居候となったるると怪我を負い寝込む銀子。
紅羽は昔仲の良かった友達が居た事を思い出す。
ユリーカの元を訪れる紅羽。
ユリーカは薫がクマに襲われ食べられた事を告げ、親友だった澪愛を食べ星のペンダントを奪っていった仇のクマを許せないと語る。
昔の友達についてユリーカに訊く紅羽。
ユリーカは澪愛から聞いた話として、紅羽が突然友達を忘れてしまった事と、絵本は二人の物語である事を紅羽に教える。
熱にうなされ昔の夢を見る銀子。
【回想】孤児である銀子はクマとヒトとの境界線で戦うクマとなる。
使命を果たせばクマリア様が自分を承認しスキが与えられると信じ戦う銀子は、負傷し仲間から見捨てられてしまう。
そこに紅羽が現れ澪愛から教わったスキの歌を唄い私はあなたの友達だよと銀子を助ける。
台所で銀子が好きなハニージンジャーミルクを作るるる。
紅羽は昔友達とハニージンジャーミルクを飲んだ事を思い出す。
母のスキの歌を唄う銀子を見た紅羽は銀子が自分の友達だった事を知る。
感想:
銀子の過去が語られ、紅羽が銀子を昔仲が良かった友達だったと知る第7話。
幼少期の銀子が独りぼっちで、そして戦地に駆り出されなんだか切ない。
予想外にあっさりと退場となってしまった薫。
排除の儀主催者が次々と食われていく展開に驚く。
Episode8:箱の花嫁
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
銀子が自分の昔の友達だったと知る紅羽だったが、銀子が母を食べたクマが奪っていった星形のペンダントをしている事に気付く。
【回想】20年くらい前。
ヒトの世界に捨てられた要らないクマであるユリーカ。
ユリーカはヒトに拾われ大切なものは箱にしまう事を教わる。
嵐が丘学園で澪愛と出会い友達となるユリーカはスキを忘れない誓いとして澪愛の誕生日に星形のペンダントを送る。
澪愛がスキなユリーカだったが澪愛のスキはユリーカのスキとは異なっており、澪愛は結婚し紅羽を生む。
そしてユリーカはスキを諦める。
断絶の壁ができた後、銀子にスキのお守りとして星形のペンダントを渡す澪愛。
それを見たユリーカは自分のスキが捨てられたと思い澪愛を食べてしまう。
しかし、澪愛を食べても心が満たされなかったユリーカは澪愛のスキを持っている紅羽を独占しようと考え、断絶のコートでスキを諦めヒトの姿にしてもらう。
紅羽に銀子とるるがクマであると教えるユリーカは、紅羽を独占するため銀子が澪愛を殺したクマであると嘘を告げる。
断絶のコートからの非通知着信により屋上に集まる紅羽、銀子、ユリーカ。
銀子はペンダントを澪愛から貰った事、昔紅羽と友達だったがある日を境に紅羽がクマはヒトの敵と思うようになり一緒に居られなくなった事、紅羽から昔スキを貰い本当の友達になる為に壁を越えてきた事、紅羽を透明な嵐から守る為に紅羽を排除しようとする者たちを食べてきた事を紅羽に告げる。
銀子にライフルを向ける紅羽は、ユリーカから撃つように煽られるが銀子の話を聞き銃を下す。
そこに現れたるるが銀子が犯した罪を紅羽に話し、紅羽は再び銀子に銃口を向ける。
感想:
ユリーカがクマであり澪愛を食べた犯人である事と、澪愛のスキが詰まった紅羽を独占するため裏で色々と暗躍していた事が語られる第8話。
ユリーカもやっぱりクマだった。
紅羽の周りにはクマしかいないじゃないか。
Episode9:あの娘たちの未来
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
紅羽に撃たれ屋上から落下した銀子は、一命を取り留めヒトの世界とクマの世界の間にある「ともだちの扉」で体を休めていた。
銀子の欲望という名の幽霊となり姿を現す蜜子に銀子は純花を見殺しにした経緯を語る。
【回想】明日の朝花壇を直す約束をする紅羽、純花、蜜子。
自分以外に紅羽を狙っているクマがいると気付いた蜜子は、紅羽にサプライズするためと嘘を吐き約束の時間よりも早くに純花と花壇に行く約束をする。
蜜子が純花を狙ってると気付いた銀子は純花と接触するが、紅羽のスキを貰っている純花に嫉妬してしまい蜜子に襲われる純花を見殺しにしてしまう。
純花を殺したのは蜜子だが、銀子が純花を見殺しにしたと言うるる、純花を殺したのは私だと言う銀子の昨晩の言葉を聞き真相が分からず悩む紅羽。
紅羽は断絶のコートのフリをし紅羽を食べる事を画策するユリーカからの電話を受け、銀子から真相を聞く為に花壇に向かう。
花壇に到着しクマとなったユリーカに襲われる紅羽だったが、大木蝶子(おおきちょうこ)を中心とするクラスメイトに助けられユリーカは銃弾を受ける。
死ぬ直前、紅羽を澪愛と勘違いするユリーカは、盗んだ絵本の続きがある場所を教え澪愛への愛を語り息を引き取る。
そして紅羽は母を殺したクマがユリーカであった事を知る。
感想:
銀子が蜜子に襲われる純花を見殺しにした経緯が語られ、ユリーカが紅羽を食べようとするも失敗し死亡する第9話。
色々と裏で暗躍していたユリーカ。
澪愛への愛ゆえ、澪愛を食べ、スキを諦めヒトになり、澪愛のスキを一身に集めた紅羽を食べようとするユリーカの今までの行動が凄く、最後に紅羽に看取られて息を引き取っていく描写が切ない。
Episode10:ともだちの扉
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
紅羽はユリーカが盗んでいた絵本の続きを読んでいた。
「月の娘と森の娘はお互いに自分を映した鏡を破壊し、約束のキスを果たす。こうして約束のキスを果たした二人は断絶を越えて旅立ちました」。
結末を知ってもヒトとクマが仲良くなる未来はないと考える紅羽。
銀子が落とした星形のペンダントを探し紅羽の家に持って行くるる。
るるを家にあげる紅羽は、銀子が嫉妬したため純花を見殺しにしたと事の真相を聞く。
そしてまた、るるも銀子のスキを紅羽に奪われた気がして銀子の罪を紅羽に告げたと謝る。
澪愛と紅羽が写った写真立てに鍵となる星形のペンダントをハメ込み写真を取りだす紅羽。
写真の折れ曲がった部分にはクマである銀子が写っていた。
しかし昔の事を思い出せない紅羽は、自分に銀子の記憶だけが無い事を不思議に思う。
銀子とるるがクマである証拠を掴んだ蝶子たちクラスメイトが紅羽の家に突入するが、るると紅羽は既に逃げていた。
蝶子たちから逃げる最中るるは断絶のコートで一番大切にしてるモノと引き換えにクマがヒトになると語り、銀子がヒトになる為に紅羽のスキを手放したから紅羽の記憶が無くなったのではないかと言う。
第三者に変身の秘密を明かしたことで承認が解除されヒトの姿ではいられなくなったるる。
クマとなったるるを蝶子たちが発見し攻撃を開始するが、友達を排除させたりしないと紅羽がるるを助ける。
ともだちの扉を通り銀子と出会った事を思い出した紅羽は、るるをともだちの扉まで連れて行きクマの世界に帰す。
そこに蝶子たちクラスメイトが現れクマを匿った事で紅羽は悪として捕まってしまう。
感想:
紅羽が銀子の言葉の真相を知り、銀子と友達だった証拠の写真を手に入れ、友達であるるるを助ける為にともだちの扉からるるをクマの世界に帰す第10話。
銀子と紅羽を仲直りさせる為、星形のペンダントを探し紅羽に届け、銀子の真相を語り、さらにヒトになれなくなるのを知ったうえで変身の秘密を語るるるが健気すぎる回。
るるがクマに戻るシーンや「二度と戻ってこないで、こんな世界に」と紅羽とるるが別れるシーンが泣ける。
Episode11:私たちの望むことは
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
【回想】11年前、戦場で倒れ仲間から排除された銀子。
ともだちの扉からやってきた紅羽が銀子を見つけ二人は友達になる。
仲良く一緒に暮らす二人だったが、クマを連れている紅羽は周りの友達から排除される。
自分がクマだから紅羽が酷い目に会うと考えた銀子は、断絶のコートでスキを手放す事とここでの事を話さない事を条件にヒトになる事を望む。
銀子は銀子の記憶を失った紅羽から拒絶され、澪愛から星形のペンダントを貰いともだちの扉からクマの世界に帰る。
クマの世界に帰ってもスキを諦めない銀子はともだちの扉近くでその時を待つ。
そして空から降ってきたるるの弟の蜂蜜の壺をきっかけにるると友達になる。
透明な嵐が吹き始めスキを諦めない銀子はるると共にともだちの扉を通りヒトの世界にやってくる。
蝶子たちによってクマを誘き出すための餌となり屋上に拘束される紅羽。
蝶子は紅羽の前で透明な空気だけが世界を支配すると言い紅羽の家から持ち出した絵本を破り捨てる。
本物のスキは私を嵐に飛び込ませると言い自身の欲望となった蜜子の幽霊を振り払い屋上に辿り着く銀子。
蝶子たちの罠だと知っている紅羽は銀子を拒絶するが、スキを諦めない銀子は紅羽の元に向かい、蝶子の銃弾が放たれる。
そこに現れ銃弾を受けるるる。
るるは銀子なら約束のキスをできると銀子を励まし、二人の未来を集めてきたと破り捨てられた絵本の欠片を銀子に渡し息を引き取る。
感想:
11年前の銀子と紅羽の出会いと別れが描かれ、銀子が自身の欲望を断ち切り紅羽の元に辿り着くも、るるが蝶子の銃弾に撃たれ息を引き取る第11話。
銀子が蜜子を振り払い「本物のスキは私を嵐に飛び込ませる」と言うシーンがやけに熱く、自身の欲望を断ち切り鏡の自分を引き裂き紅羽の元に向かう姿がかっこいい。
蜂蜜の壺が割れ銃弾に倒れるるる。
そこから「るるかしこーい、でしょ?」の笑顔からBGMが止まりクマの手が写るシーンまで涙なしでは見れない。
Episode12:ユリ熊嵐
(C)2015 イク二ゴマモナカ/ユリクマ二クル
銀子を捕まえ友達である紅羽に殺させようとする蝶子とクラスメイトたち。
銀子は紅羽を守る為、紅羽の事を獲物であり友達ではないと嘘を吐く。
紅羽は壁を越え自分の傍にいて透明な嵐から守ろうとしてくれた銀子に最初から友達だったと語りかける。
それでも嘘を吐き通そうとする銀子はクマの姿となる。
正体を現した銀子を排除するためライフルを構えるクラスメイトたち。
その光景を見た紅羽は全てを思い出す。
【回想】11年前。
断絶のコートにて銀子をヒトの女の子にして欲しいとお願いする紅羽。
銀子をヒトの姿にする事が幸せだと思う身勝手な紅羽を裁判官は傲慢だと諭す。
スキを手放す条件で願いを叶えてもらった紅羽は銀子の事を忘れ拒絶する。
全てを思い出し傲慢の罪を認め純花から本物のスキを教えてもらった事に感謝する紅羽は、るるが探してくれた星形のペンダントを銀子に渡し「やっと見つけた」と微笑む。
空に向かい「お願いがあります、クマリア様」と叫ぶ紅羽。
現れたクマリア様は「椿姫紅羽あなたのスキは本物?」と問い、本物ですと答える紅羽はクマになる事を望み承認される。
そしてクマになった紅羽は銀子と約束のキスを交わしクマリア様に導かれ断絶を超え旅立つ。
スキがキスになる場所で弟のみるんに紅羽と銀子の絵本を読むるる。
みるんは約束のキスを自分からすれば良かったんだとるるにキスをする。
るるはみるんに「ずっと一緒だよ」と微笑む。
ーー娘たちの行く先は誰も知りません。
でも、それでいいのです。
世界はあなたのスキで目覚め、変わってゆくものなのですからーー
感想:
紅羽が銀子をヒトにする願いをした過去を思い出し、今度は自分がクマになるお願いをし約束のキスを果たす第12話。
紅羽と銀子の純愛の物語に涙が止まらない。
銀子をヒトの姿に代えて欲しい紅羽の願いが傲慢にあたると云うずっと隠されていた過去が判明した時が中々の衝撃。
ヒトになる方がいいと考えるのはヒトの傲慢以外の何者でもない。
そして、本当のスキに気付いた紅羽がクマになる事をお願いするラストが素晴らしい。
るるとみるんが(たぶんあの世で)再会。
みるんがるるにキスをし、るるがずっと一緒だよと笑顔で答えるシーンが泣ける。
現世ではお互いのスキが叶わなかったけれど、幸せそうな二人を見れて胸が一杯になる。
クマリア様の姿が純花だったが、紅羽にはそう見えたというだけで純花=クマリア様ではないと思う。
OP曲が最後に流れる演出が曲調も相まって本当に感動でき、OP曲が耳から離れない。
時系列順ストーリーまとめ
過去回想を多用する作品だったので、時系列順に出来事をまとめておきます。
20年位前:
ユリーカがヒトの世界に捨てられ、澪愛と出会い友達となる。
ユリーカはスキを忘れない誓いとして澪愛の誕生日に星形のペンダントを送る。
17年前:
紅羽誕生。
澪愛のスキと自分のスキは違うと感じたユリーカはスキを諦める。
12年前:
るるの弟みるん誕生
11年前:
戦場で仲間から見放され倒れている銀子を紅羽が助け、紅羽の家で共に暮らし二人は友達になる。
澪愛が紅羽と銀子をモデルにした絵本「月の娘と森の娘」を作成する。
クマを連れている紅羽が周りの友達から排除される。
紅羽が断絶のコートで銀子をヒトの女の子にする事を望み、代償として銀子の事を忘れる。
紅羽が銀子を拒絶するようになったため、澪愛がお守りとして星形のペンダントを渡し銀子をクマの世界に戻す。
澪愛が星形のペンダントのペンダントを銀子に渡したのを目撃したユリーカは自分のスキが捨てられたと思い澪愛を食べる。【澪愛死亡】
ユリーカが澪愛のスキが詰まった紅羽を見守る為、断絶のコートでスキを諦めヒトの姿にしてもらう。
ユリーカが絵本の最終ページを盗む。
数年前:
るるの約束のキスが欲しいみるんが何度も蜂蜜の壺を取ってくるが、るるに拒絶される。
不慮の事故によりみるん死亡。
1年ほど前:
弟が亡くなり虚しさに包まれるるるの元に銀子が蜂蜜の壺を持ってくる。
断絶の壁を越えると言う銀子に同行することを決めたるるは、断絶のコートでキスを諦めヒトの姿にしてもらう。
入学式の後:
祖母から貰ったヘアピンを落とし困っている純花を紅羽が助け友達になる。
1ヶ月より前:
赤江カチューシャ主催の排除の儀が行われ、純花が紅羽に投票しなかった事により純花が排除対象となる。
1ヶ月前:
薫が透明な嵐から紅羽を守るため紅羽の友達になると嘘を吐き純花に手紙を書かせる。
純花が紅羽に誕生日のプレゼントとして手紙を渡す。
現在:
銀子とるるが転校してくる。
紅羽を狙う蜜子が純花を食べる。銀子は現場を目撃するが純花を見殺しにする。【純花死亡】
紅羽を透明な嵐から守る為、銀子とるるが赤江カチューシャを食べる。【赤江カチューシャ死亡】
蜜子の事が好きなこのみが紅羽に嫉妬し紅羽を襲うが蜜子にライフルで撃たれる。【このみ死亡】
江梨子主催の排除の儀が行われ、紅羽が排除対象になる。
排除対象となった紅羽を蜜子が食べようとするが紅羽にライフルで撃たれ死亡する。【蜜子死亡】
紅羽を透明な嵐から守る為、銀子とるるが江梨子を食べる。【江梨子死亡】
薫が紅羽を陥れる為、紅羽の誕生日に向けて花壇の手入れをクラスメイトと共に行う。
紅羽を透明な嵐から守るため銀子とるるが薫を食べようとするが、ユリーカから二人の正体を知らされていた薫の罠にかかり銀子が重傷を負う。
紅羽の誕生日。
薫の策略を知り花壇を焼かれ愕然とする紅羽。
純花の手紙も焼かれるが銀子が身を挺して手紙を守る。
銀子とるるの前で純花の手紙を読む紅羽「今目の前にいる娘があなたの新しい友達です」。
薫がユリーカに食べられる。【薫死亡】
ユリーカが紅羽を自分のものとする為、澪愛を食べたクマが星形のペンダントを奪っていったと紅羽に嘘を吐く。
紅羽の家で銀子の看病をする紅羽とるる。
母のスキの歌を唄う銀子を見た紅羽は銀子が自分の友達だった事を知るも、銀子が星形のペンダントをしているのを発見する。
学校の屋上で対峙する紅羽、銀子、ユリーカ。
銀子は壁を越えてきた真相を紅羽に語るが、純花を見殺しにした事を知った紅羽に撃たれ屋上から落下する。
ユリーカが紅羽を食べようとするが蝶子たちクラスメイトに撃たれ死亡する。
死ぬ直前ユリーカは澪愛を食べた事と絵本の続きの在処を紅羽に教える。【ユリーカ死亡】
銀子が落とした星形のペンダントを探してるるが紅羽の家に持ってくる。
銀子とるるがクマであることを知る蝶子たちが紅羽の家に突入し紅羽とるるは逃走する。
紅羽に変身の秘密を教えたるるはクマの姿に戻り、紅羽がともだちの扉からるるをクマの世界に帰す。
るるをクマの世界に帰した所を蝶子たちに見られた紅羽は、銀子を誘き出す餌として学校の屋上に拘束される。
蝶子たちの罠と知りながらも紅羽を助けに屋上に来た銀子。
ともだちの扉から戻ってきたるるが銀子を庇い蝶子たちのライフルで撃たれ死亡する。【るる死亡】
銀子を捕まえ紅羽に殺させようとする蝶子たち。
以前断絶のコートで銀子をヒトにする願いをした事を思い出した紅羽は傲慢の罪を認め、クマリア様に自分をクマにして下さいとお願いし承認される。
そしてクマになった紅羽は銀子と約束のキスを交わしクマリア様に導かれ断絶を超え旅立つ。
最後に
銀子と紅羽の愛、るるとみるんの姉弟愛で涙が止まらない。
色々と考えさせられる事もあるけど、単純に見終わった後に「あぁ、良い話だったなぁ」と思える良作だと思います。